アナログ・ビジネス
またまたITネタからは離れますが、最近アナログなものが人気だという記事をよく見かけます。去り行くものへのノスタルジー、デジタル化へのアンチテーゼなど様々な理由を挙げることができると思いますが、デジタルに置き換えることのできない価値が認識されていることは確かでしょう。であれば、アナログなものに関するビジネスは今後も続いてゆくはずです。
今日の日経新聞夕刊で、フィルムカメラ人気に関する記事がありました:
■ わたしたちアナログ派(中)--フィルムカメラ 撮影・現像、ゆっくりと(日本経済新聞 2006年4月11日夕刊 第1面)
女性達の間で、フィルムカメラの人気が高まっているという記事です。ポイントを箇条書きにすると:
- 富士フィルムイメージングが開く女性向けフィルム一眼レフカメラの写真教室「フォトデイズ」は二ヶ月先まで30人の定員が埋まる盛況ぶり。
- 肩がけストラップを自作し、アクセサリーのように着こなす女性も多い。
- 写真雑誌「PHaT PHOTO」が運営する写真教室でも、20代~30代の若者約300人がフィルムカメラの操作方法を習っている。
- 女性向け写真雑誌「カメラ日和」が二年前に創刊された。
- フィルムカメラにこだわる「カメラマガジン」が昨年創刊された。
- 東京・中野のフジヤカメラ店では、一部の一眼レフカメラが品薄。人気機種は1-3月で昨年同期の2倍以上も売れている。
といったところです。
こうして見ると、フィルムカメラは一種のファッションとして若者、特に女性からの支持を受けているようです。「肩がけストラップを自作し、アクセサリーのように着こなす」という部分はまさにその象徴でしょう。そう考えると、フィルムカメラをより「ファッション化」する付属品を提供することがビジネスとして考えられないでしょうか。
例えば、以前Polar Bear Blogで「フルラとインテルが共同で女性向けPCバッグを開発した(参考記事:PCがあることを前提に考える)」ニュースに関する記事を書いたのですが、「女性向けカメラバッグ/カメラケース」なんていうものが考えられるかもしれません。カメラを持てば遠くに出かけて、様々な風景を撮ってみたいというのが人情ですから、カメラを持ち運びするためのモノに対するニーズは大きいはずです。現状でどんなものがあるか、ちょっと楽天さんをのぞいてみましょう:
これが全てだとは思いませんが、若い女性が持ち歩くのにふさわしいものは少ないですね。女性ユーザーをターゲットにした付属品が入り込む余地は、以外に広いのではないでしょうか。
またアナログなものは、操作や取り扱いが複雑という面があります。だからこそフィルムカメラでも、専門雑誌や教室など、知識/スキルを習得できるもの/サービスに対するニーズが生まれているのでしょう。この点に関連するビジネスとして、Q&AサイトやEラーニング的なサイト、クチコミ情報が交換できるサイトなどが考えられるのではないでしょうか。それこそ「シニア層のノウハウを活かすビジネス」ではありませんが、団塊世代で一眼レフに詳しい人々が、オンラインで質問に回答してくれるサイトなんてものも考えられるかもしれません。
デジタルな世界に浸っていると、デジタルな世界をサポートすることにだけに注意が向いてしまいがちです。たまにはアナログなものに目をむけ、そこに衰退を見るのではなく、新たに生まれてくることに注意を向けることも大切ではないでしょうか。