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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

「和魂洋才」ならぬ「縄魂弥才」

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週末読了したのは、梅原猛著の「日本の深層」。おしんブーム真っ盛りの1983年に刊行された本の、文庫版。秋祭りの蚤の市で買い求めた本だが、面白かったので一気に読んでしまった。

つい最近まで世界最古の土器とされた縄文土器。縄文文化の中心地は、東北地方だった。今から3千年前から2千年前くらいまで、東北地方、特に津軽地方は日本最高の文化を誇っていたという。大陸からやって来た弥生文化を取り込みながら、魂は縄文文化を保ち続けた、現日本人像を、著者は「縄魂弥才」と形容する。

以下は終章からの抜粋。

「いま人類文化が工業化の極限において、大きな行きづまりを感ぜざるを得ないとき、人類文化を地球規模において反省することを余儀なくさせられるであろう。自我を絶対化し、人間と動植物とを截然と区別するヨーロッパ的思惟の限界が明らかになったとき、世界のいろいろな文化は、その文化の奥底にある深い原理を提示する必要があろう。このような文化原理の提示において、東北は他の日本の地域より有利であろう。なぜなら、東北は縄文文化に遡る古い文化原理をその内部に宿しているからである。...」

26年前の文章が、いやでも切実に迫ってくる。関西と四国以外ほとんど知らない私だけど、次回日本に帰る時は、ぜひ東北の地を訪ねてみたいと思った次第。

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