「全東信」破産、決済代行各社の救済策まとめ ― 加盟店が今すぐ確認すべきこと
今日、Xのタイムラインが一気にざわついていました。「決済代行の全東信が破産」というニュースです。負債は約1259億円、今年最大規模の倒産だという。飲食店を経営している知人からも「うちの端末、いきなり使えなくなった」という悲鳴が届いていて、他人事とは思えず調べてみました。
普段はGTMだ生成AIだと技術寄りの話ばかり書いている私ですが、キャッシュレス決済という「お店のインフラ」が一夜にして止まる怖さは、マーケティングやデータ計測の話とも地続きだなと感じたので、今日はこのテーマで書いてみます。
全東信って何をしていた会社?
全東信は大阪市に本社を置くクレジットカード決済代行会社。1987年創業で、主に飲食店を対象に「クレジットカードの売上を、カード会社からの入金より先に立て替えて支払う」という早期決済サービスを展開していました。通常のカード決済は月1回の入金が一般的ですが、全東信は業界に先駆けて週2回・月6回という早期入金を売りにしていて、利益率の薄い飲食店にとっては資金繰りの生命線になっていたようです。2018年9月時点で加盟店は20万店超という報道もありました。
なぜ破産に至ったのか
コロナ禍で飲食店の時短営業・休業が相次いだことで手数料収入が急減し、財務状態の悪化が続いていたところに、2024年1月、社員が審査の通らない飲食店の加盟店契約を他人名義で結んでいたとして逮捕される事件が発生。その後、同社も組織的犯罪処罰法違反の疑いで書類送検されています。これをきっかけに信用不安が表面化し、資金調達が難しくなったことが直接の引き金になったようです。日本経済新聞によると、2026年7月6日に大阪地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始の決定を受けています。負債額は2025年3月末時点で約1259億2900万円。
加盟店にはどんな影響が出ているのか
破産手続きの開始によって、全東信のクレジットカード決済端末はすべて使用不可になりました。しかも厄介なのは、すでにカード決済済みで「まだ入金されていない売上」が、通常の入金サイクルでは支払われず、破産債権として扱われてしまう点です。これを受けて日本飲食団体連合会(食団連)が緊急声明を発表し、加盟店に対して
- 全東信の決済端末の使用を直ちに停止すること
- 未入金となっている売上金を集計すること
- 代替となる決済サービスを早急に導入すること
の3点を呼びかけています。PayPayや楽天ペイなどのQRコード決済を使っている店舗も、それが全東信経由の契約なのか、別契約なのかで対応が変わるので要確認とのことです。
決済代行各社の救済策まとめ
ここが今回一番調べたかったところ。実際に動いている決済代行各社の対応を並べてみます。
STORES決済
STORESは7月7日、公式Xで「キャッシュレス決済導入 特別相談窓口」の開設を発表しました。全東信を利用中・利用していた加盟店を対象に、専用の申込ページまで用意されています。内容を見ると、7月7日〜7月31日の期間限定で、フリープラン契約なら通常27,720円する決済端末を無償提供。手数料はフリープランで対面クレジット2.48%〜、スタンダードプランなら1.98%〜。スタンダードプラン契約時にはAmazonギフトカード20,000円分のプレゼントも用意されているようです。電話窓口(050-5527-7458、平日10:00〜18:00)もあるので、まず相談してみるのはアリだと思います。
Square(スクエア)
Squareは決済代行各社の中でも導入スピードの速さが特徴で、Tap to PayやSquare指定端末を使えば最短で申込当日から決済を開始できます。手数料は年間キャッシュレス決済額3,000万円未満で主要カード2.5%、その他の決済手段は3.25%。売上をすぐ資金化したい場合は、手数料1.5%の即時入金サービスも選べます。「今日明日の営業をどうにかしたい」というスピード重視の場合の選択肢として押さえておきたいところです。
USEN PAY
USEN-NEXT HOLDINGSグループの決済会社USEN PAYも緊急対応を発表しています。同社グループ代表の宇野康秀氏の呼びかけとしてXで拡散されていた投稿によると、①スピード審査(最短3日で端末設置)②決済代金の翌日入金サービス③決済手数料の削減、の3点を緊急対応させるとのこと。問い合わせは電話0120-125-440(24時間365日)、またはUSEN PAYの問い合わせフォームから。
番外編:PayPayなどQRコード決済の即日活用も検討を
新規契約という意味では上記の各社になりますが、すでにPayPayや楽天ペイのアカウントを店舗用に持っていて、それが全東信経由でない別契約なら、今日からでもそのまま使えます。特にPayPayは「PayPayクレジット」を紐づけているお客さんも多く、店舗側から見ればクレジットカードとほぼ同じ感覚で受け取れるのがありがたいところ。決済代行各社への正式な乗り換えを進めつつ、その間のつなぎとしてQRコード決済の設置を急ぐ、という二段構えが現実的だと思います。
ここで手前味噌だが、私の会社で提供している決済代行サービス「Airペイ」もご紹介しておく。全東信破産そのものへの特別対応をしているわけではないが、「とにかく今すぐクレジットカード決済を復活させたい」という店舗には選択肢になると思う。AirペイタッチはiPhoneだけでタッチ決済を受け付けられるサービスで、対応機種はiPhone XS以降・iOS 17.4以上。申込と審査書類のアップロードから最短15分で利用開始できる(審査内容によっては1日以上かかる場合もある)。資金繰りが厳しい場合は、Airペイの売上に応じて資金を調達できる「Airキャッシュ」や、支払期日が迫った請求書をカードで立て替えて最大60日後まで支払いを延ばせる「請求書立替払いサービス」もあわせて用意されている。
公序良俗に反する業種は要注意(決済代行会社共通の話)
もう一つ、決済代行を検討する上で知っておいたほうがいいのが、リクルートに限らずどの決済代行会社も、公序良俗に反するサービスや風営法対象の業態については加盟審査が通らなかったり、後から規約違反で契約解除になったりするケースがあるということ。夜間業種を含む飲食店は全東信の主要な顧客層でもあったので、乗り換え先を探す際は事前に規約を確認しておくと、手戻りやトラブルを避けられる。
例えばAirペイの加盟店規約では、第29条(取扱商品等)で「公序良俗に反するものまたはそのおそれのあるもの」の取引を禁止しており、末尾の別表第3号では「児童ポルノ・アダルト関連・性風俗または性的な要素をセールスポイントとしたもの」など取扱禁止商品等が具体的に列挙されている。また第38条(契約の解除)には「Airペイ加盟店の営業、業種・業態が公序良俗に反するとRCLが判断した場合」に契約解除できる旨の規定もある。他社に乗り換える場合も、同様の条項がないか確認してから申し込むのが安心だと思う。
公的な支援制度も忘れずに
決済代行会社への乗り換えとは別に、公的なセーフティネットも用意されています。食団連の第2報によると、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)」、信用保証協会の「セーフティネット保証1号」(取引先の破産による連鎖倒産を防ぐための100%保証制度)、そして都道府県ごとに設置されている中小企業活性化協議会への相談が案内されています。資金繰りに困っている場合は、決済会社の乗り換えと並行してこちらもチェックしておくと安心です。
おわりに
今回調べていて改めて思ったのは、決済インフラって普段は空気みたいに存在を意識しないけど、止まった瞬間にお店の生命線だったんだと痛感する類のものだということ。GTMのタグが1本切れても売上には直結しませんが、決済端末が1台止まると、その日から現金商売に逆戻りです。
もし身近に飲食店や小売店を経営している方がいたら、この記事のリンクだけでも共有してあげてください。今できることを1つでも早く動かせるかどうかが、次の一手を左右する局面だと思います。

