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あれこれ考えるよりも作ってしまった方が早いんじゃね?と思う、ギークなサラリーマンのアジャイルな日々。

「冬の冷たい海で叫んだ英雄の名言」ChatGPTと粘って議論したら、野茂英雄からニューヨーク船上決戦にたどり着いた話

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前回の記事で、アメリカ横断ウルトラクイズのエントリー審査問題「冬の冷たい海で叫んだ英雄の名言とはいったい何か」を、8つの生成AIに聞き比べました。

今回はその番外編。結論を先に言っておくと、この問題、AIには最後まで答えられません。答えを作れるのは人間の側だけですと言うお話。ちなみにこの結論はAIではなく、秋山大志本人が本人の頭で考えました。

自分で思いついた「野茂英雄」案が、崩れた

最初に思いついたのは、設問の「英雄」を人名の「ヒデオ」と読ませる線でした。野茂英雄。日本人の英雄で、海の向こう(メジャーリーグ)に渡った人物。筋は悪くない。悪くないんですよ。

で、その線でSolにまとめさせたら、「とにかく、腕を振るしかない!」という野茂の言葉を選んで、理由まできれいに整えて返してきました。アイデアは私、清書はSol。そのまま出せる形になっていたので、そのまま出しました。

この読み、番組の事前特番であっさり息の根を止められます。櫻井翔さんがこの問題を口頭で紹介したとき、「えいゆう」って読んでるんですよ。ヒデオと読ませる謎かけなら、司会が「えいゆう」と読み上げた時点で成立しません。はい、野茂案ここで終了。

しかもその特番、櫻井さんの映像に「知識を超えた推理力」というでかいテロップを掲げた上で、この問題を出してきています。知識で殴る問題じゃない、と番組側が最初から宣言していたわけです。だとすれば、有名な名言を知っているかどうかを競う土俵に乗った時点で、そもそも負けている。

で、自分でさらに「推理」してみた

で、ここでSolに投げたのが、この一行です。

そもそも、櫻井さんは口頭で「えいゆう」と言っていた。アメリカ横断ウルトラクイズの予選から本戦までの収録時期を考えてみよう。そのときに「冬の冷たい海」はどこ?

この時点で、私の中では答えの骨格はもう出来ていました。「英雄」とは、最終決戦まで勝ち残った参加者のことだろう、と。歴史上の偉人を探す問題じゃない。エントリーシートを書いている人間に向けて出しているんだから、主語は出場者自身に決まっています。

迷っていたのは一点だけ。一次予選が9月なので、そこから収録が進んで「冬の冷たい海」に着くとき、それは南半球なのか、北半球なのか。そこだけ確信が持てなかった。だからSolに投げたのは、推理させるためじゃなく、裏を取らせるためです。

ついでに言うと、最終決戦が12月ならニューヨークだろう、というのも既に頭の中にありました。ウルトラクイズの決勝地はニューヨークと決まっているので、そこは考えるまでもない。

Solの回答は、ほぼ想定通りだった

返ってきたのは、参加規約の日程表を並べた回答でした。

  • 国内予選:2026年9月12日
  • 海外ラウンド前半:9月20日〜10月2日
  • 海外ラウンド後半:11月30日〜12月7日
  • ルート:ヨーロッパ、アフリカを経てアメリカへ。最終決戦はニューヨーク

後半収録は12月=冬。ルートの順番から考えて、この時期に残っているのはアメリカラウンド。したがって「冬の冷たい海」はロサンゼルス周辺の太平洋か、ニューヨーク周辺の大西洋・ニューヨーク湾ではないか----と。

欲しかった裏取りはこれで取れました。北半球。南半球説は消えた。規約を全部読んで日程を拾い出すのは面倒なので、そこは使えます。

Solはさらに、参加資格の欄にある「砂漠を走り、泥に飛び込み、水中でクイズをするなど、過酷なシチュエーションを予定しています」という条文も引っ張ってきて、こうまとめてきました。

歴史上の英雄が過去に叫んだ言葉を当てなさい、ではなく、冬のアメリカの冷たい海でクイズをすることになった未来の英雄----つまり、そこまで勝ち残った挑戦者は何と叫ぶのかではないでしょうか。

そしてエントリーシートに書いている人に向けた問題ですから、その「英雄」とは、あなた自身なのかもしれません。

いや、そこは最初からそう言っている。そういう枠で投げたんだから、そう返ってくるのが当たり前です。枠の中で辻褄を合わせるのが上手いだけで、枠そのものを作ったのは人間側。

「規約にそんな日程書いてあったっけ?」と聞いてみた

ただし、日程表がやけに具体的だったので一応確認しました。「規約にそんな日程書いてあったっけ?」と。

日程そのものは、参加規約に明記されていました。先ほどの回答で問題だったのは、日程ではなく、そこから先の推測を事実のように書いた点です。

(中略)ただし、規約に書かれていないのは次の部分です。
・11月30日〜12月7日がアメリカラウンドである
・冬の冷たい海がニューヨークの海である
・そこで実際に水中クイズを行う
これらは規約から考えられる推測であって、確定情報ではありません。

私も規約を読み直しましたが、この切り分けは正確でした。日程も渡航予定地域(ヨーロッパ北部・西部、フランス、モロッコ、アメリカのロサンゼルス周辺とニューヨーク周辺)も水中クイズの記述も、たしかに規約にある。一方で「どの期間にどの地域を回るか」はどこにも書いていない。

この一手は使えます。回答がもっともらしいときに「それ、どこに書いてあった?」と聞けば、事実と推測をこうやって分けてくる。裏取りに使うなら、セットで。

で、最終的に出てきた答えも、正直つまらない

そのあと私が「最終決戦の地はニューヨークで、自由の女神を望む船の上で最後の戦いが行われる。そこで勝った者が英雄では?」と、番組ファンなら誰でも知っている前提を渡したところ、Solはこう着地しました。

答え:「ニューヨークに、来たぞー!」
理由:「冬の冷たい海」とは、12月のニューヨークで行われる最終決戦の舞台を指すと推理しました。そこで優勝した挑戦者は、世界を横断して勝ち残った英雄です。予選での「ニューヨークへ行きたいかー!」という問いに、旅の最後に「ニューヨークに来たぞー!」と答える。それが未来のクイズ王の名言だと思います。

「ニューヨークへ行きたいかー!」に対する「ニューヨークに、来たぞー!」。問いと答えの対にはなっています。

ただ、つまらない。実につまらない。

無難すぎる。番組の決め台詞をひっくり返しただけなので、誰が書いても同じ言葉になります。審査する側からすれば「まあ、そう来ますよね」でしょう。前回のFable 5のカエサルもそうでしたが、AIが出してくる答えは、どこまで行っても「誰でも書けるもののうち、いちばんスコアがいいやつ」にしかならない。

一方その頃、Fable 5は最後までダジャレを捨てなかった

Fable 5にも推理縛りで聞き直しました。「今回のウルトラクイズでは『知識を超えた推理力』が重要だそうです。知識ではなく推理をして解答を出してください」と。

推理縛り、了解です。今回は人名も史実も一切封印。証拠は問題文の中だけ、という探偵スタイルで解きます。手がかりは5つ----①冬 ②冷たい海 ③叫んだ ④英雄 ⑤名言。これを全部使い切る答えが真犯人です。

◎本命:「ヒエ〜〜ロ〜〜!(冷えろ〜)」
④「英雄」を開くと「ヒーロー」。②冷たい海に落ちた人間が反射的に発する音を考えると「ひえっ」、①冬ならなおさら伸びて「ヒエ〜〜」。彼は英雄だから叫んだのではなく、冬の海で「ヒエ〜ロ〜(冷えろ〜)!」と叫んだ声を聞いた人々が、彼を「ヒーロー」と呼ぶようになった。英雄の語源事件、これにて解決。

○対抗:「鮭(サケ)ーッ!」
③「叫んだ」を凝視すると「さけ・んだ」。①冬の②冷たい海といえば、まさに鮭の海域。

▲単穴:「冷たいっ!」
凡人が言えば悲鳴、英雄が言えば名言になるから。

......全力でダジャレでした。1ミリもブレない。

達者ではある。ただ、これで審査を通るかは別の話です。

プロンプトエンジニアリングって言葉、もう誰も言わなくなったけど

生成AIの回答はブレます。アカウントに溜まった過去のやりとり(メモリ)に引っ張られるし、デコーダーのTemperature設定ひとつで語り口も変わる。検索が走ったか、RAGで何を食わせたかでも変わる。前回の記事でわざわざ全モデルをログイン直後のクリーンな状態で揃えたのも、これを潰すためでした。

で、条件を揃えてしまえば、みんな同じモデルを叩いているので、同じプロンプトからは大差ない答えしか返ってきません。実際、前回9モデルに同じ質問を投げて出てきたのは、「有名な英雄の名言リスト」のバリエーション違いばかりでした。

今回、同じSolから違う出力が出たのは、モデルが賢くなったからではなく、私が事実(櫻井さんの読み)と枠組み(収録時期から考えろ)と問い(冬の冷たい海はどこか)を指定したからです。「プロンプトエンジニアリング」なんて言葉はもう誰も口にしなくなりましたが、ガベージイン・ガベージアウトは1ミリも変わっていない。ゴミを入れればゴミが出る。良い問いを立てて、必要な事実を渡して、Step by Stepで考え方の枠を示せば、同じモデルから何倍もの働きを引き出せる。バズワードとして消費され尽くしただけで、技能自体は今でも効きます。

ただしそれ、裏取りと作業効率の話でしかないんですよ。

結局この問題、AIには絶対に答えられない

この設問を私が推理した構造は、こうです。

  • 冬の冷たい海=12月、最終決戦の舞台であるニューヨークの海
  • 英雄=そこまで勝ち残って優勝した参加者
  • つまり問われているのは「あなたが優勝した瞬間、何と叫ぶか

ここまで分かってしまえば、あとは何を叫んでもいいんです。正解の名言なんて存在しない。冬のニューヨークの船の上に立って叫ぶのは自分なんだから、その言葉は自分の中からしか出てこない。

Fable 5にも、ChatGPT 5 Solにも、他の誰にも、自分の代わりに勝ち残ってもらうことはできません。砂漠を走るのも、泥に飛び込むのも、水中でクイズを解くのも自分です。だとしたら、そこで何と叫ぶかを他人(しかも機械)に決めてもらう意味が、そもそもない。

ユーモアも、モチベーションも、情熱も、人間の方が上です。その場に立つのが自分である以上、この問いに答えを作れるのは自分しかいない。AIの「ニューヨークに、来たぞー!」がつまらないのは、そこに立つ情熱がないからです。

裏取りにはAIを使えばいい。日程の確認も規約の読み込みも、機械の方が速くて正確です。でも最後の一行だけは、自分で書いてください。そこだけは、代わってもらえないので。

ヒューマンエラーは仕方ない

さて、ここまで散々「最後の一行は自分で書け」と偉そうに語ってきたわけですが。最後に、致命的な報告が。

私、この裏取りをする前に、野茂英雄案でエントリーシートを提出しちゃったんですわ。

しかも、これがタチが悪い。「英雄」を「ひでお」と読ませるダジャレは、自分で思いついたアイデアです。それをSolにきれいに清書させて、そのまま送信しました。櫻井さんが「えいゆう」と読み上げた瞬間に崩壊が確定していた案を、です。

自分の言葉で書け、と散々言っておいて、自分は自分のダジャレをAIに整えさせて出している。しかも外している。ガベージインとかそれ以前の問題ですw

1次予選の合否通知は、9月12日の1週間前を目処にメールで届くとのこと。まあ、来ないでしょうね。50周年で、自分も50歳。同い年の番組が28年ぶりに帰ってきた記念すべき年に、私は書類で散ります。ニューヨークへ行きたいかー! ......行きたかったです。

皆さんは、ちゃんと自分の言葉で書いてください。切に。

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