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シンポジウム報告(その1):「自分で考えることの重要性」

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前回のエントリーで紹介したシンポジウムに参加してきましたので、概要について報告いたします(ちと、遅くなっちゃいましたが)。先ずは、アラン・ケイ博士の講演について中心に。

時は130日の火曜日。奇しくもマイクロソフトのVista発売日と同じ(あまり関係ないかな)でした。当初、関係の方に伺ったら、参加者が思ったほど伸びず苦労されているということでしたが、いやいや300名近い方が、会場を埋めていました。皆様ラストスパート、頑張られたんでしょうね。

さて、今回のアラン・ケイ博士の講演テーマは「ユビキタスコンピューティング時代の到来に向けて」。ユビキタスという言葉を始めて使った講演ということでした。話の中心は、子供の教育に対するPCの活用であり、子供の直感的な思考でプログラミングができるSqueak(スクイーク)の有用性と、それを100ドルPCで広げることがいかに人類に有益であるかと(特に第三世界)。この100ドルPCがメッシュネットワークになることにより、より「知」が行き来し、教育にも役立つ。本シンポジウムのテーマとなっているフィールドサーバーから得られる情報も、大きく寄与するであろうと仰っていました。

しかしながら、子供たちの思考回路を理解しながら、PCを道具として教えることのできる教師(正確にはメンターという言葉を使っていました)の数がボトルネックになっており、これを補う教材の作成が必要。この教材を作るには75億ドルかかるが、現在、米国はイラクに対し1ヶ月に80億ドル使っているが、これを振り向ければ問題ないのでは?とも言っていました(辛口)。

最後に会場から、インターネットの重要性についてどう考えるのかという質問がありました。博士は、もちろんインターネットやグーグルの重要性は認めていましたが、子供の教育という観点に立ったとき、ネットや検索に頼りすぎると自分で考えることを怠ってしまうことを懸念していました。「考えているフリ」ではなく、「先ずは自分で考えること」を学んで欲しいと仰っていました。とても含蓄のある言葉です。どこまでも教育者でありました。

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