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情報通信業界に関わる事業戦略からM&A、ベンチャー支援までを手がけるコンサルタントの気ままな落書き

緊急地震速報 その後 → 感じること

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しかしまあ、誤報の原因が、ソフトウェア更新時のエラーとは。。。しかも、依頼内容範囲外だったとは。ずいぶんとラフな仕事の仕方ですな。振幅の単位をマイクロメートルとするところが、ミリメートルになってしまったとか。。。システマティックな面からエラーを防止する策がとられているべきというのは、きっと多くの方々が思っているところでしょう。なので、私はちょっと違った切り口で(そうでもないかな?)

コンピュータの数値をいじっているだけだとなかなか実感が伴わないので、修正したものが正しいのか間違っているのか、即座にはわかりずらいですね。で、こんなたいそうなことになってしまったから、その人は、逆に今、かなりの実感を持たざるを得ない状況になっているでしょうね。誤報で人を教育するというのは、あまり繰り返せませんが、担当者にとっては良い教育になったことでしょう。良い意味で、実感を伴うような何かが必要なのではないでしょうか。

以前に某大学工学部の教授が、車のエンジンの設計を数値だけに頼っていると、新たな技術やメカニズムへの対応が行えないと言っていました。これは何を言っているかというと、例えば、エンジンへ送る燃料と空気との混合比は、従来(ってだいぶ前になりますが)、キャブレターという部品で調整していました。このキャブレターの形状やら何やらを変えながら最適化する。ベルヌーイの法則という物理公式を用いて、混合比を決めていくのです。いまや、キャブレターなる部品は使われておらず、全てコンピュータ制御になっています。するとそこでは、数字を入れるだけで、混合比が決まる。実際に何が起きているかわかることなく、結果が出てくるブラックボックスになってしまっています。確かに便利ですが、このような方法で設計をした気になると、新たな困難に直面した時や性能の限界に対するブレークスルーを生むことはできない。

要は、アナログ的に何が起きているかを実感しながら、数値をいじらないとわけのわからない答えを導いてしまうことになるわけです。応用問題も解くことができなくなるわけです。

別の例では、ある大学生が、濃度が10%と20%の食塩水を同量ずつ加えると何%の濃度になるか、という問いに、間髪いれず30%と答えて、涼しい顔をしていたという話を聞いたことがあります。10%と20%、加えるという言葉から、反射的に足しこんだ可能性が高いです。その大学生は、コンピューターが大好きでエクセルも得意な学生ということでした。でも、ちょっと考えれば、濃いものと薄いものを足せば、その中間的なものになるというのは、感覚的にわかるはずです。この感覚的にわかるという感覚を持つことが本当に必要なのではないかと思いました。

感じることが重要なのです。

緊急地震速報の誤報から、こういう話に持っていったのは、結構飛躍してるかなとも思いましたが、これも私の感性ということでご理解ください。

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