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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

海を渡った大福の話

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好きな菓子は何かと聞くものだから、「う~ん、大福かな」と答えていたら、父の日のプレゼントとして娘に2つばかり買ってもらった。なけなしの小遣いから「大金」を投じたところが素直に嬉しかったのであるが、実はちゃっかりと母親から何がしか補助してもらい、ついでに自分用に芋羊羹を買ってもらったらしい。ま、そのあたりは子供なりの世渡り術とでも言うべきものだろう。

実は買って欲しいものとして大福を指定したのは、これが始めてではない。かつてアメリカ・カリフォルニア州のサンノゼに駐在していた時分に、何度か会社の同僚に買ってきてもらった事がある。当時の僕の上司が気を使ってくれて、日本から誰かがサンノゼに出張する際に買わせるので、何か欲しいものはないかと聞くので、そこでも大福と答えたのである。しかもブランドは問わないがちゃんとした和菓子屋のがいい、という条件付である。当時のサンノゼでは和菓子を見つけることは不可能だったにも関わらず、何日経っても餅の部分が固くならない保存料たっぷりのやつは味わいが違うし、せっかくなのでぜいたくを言ったのである。上司のお陰で、サンノゼに大福を買っていくこと、というのは部門内では業務命令化(?)していたらしい。

さて出張者が日本で大福を購入してから僕がサンノゼで受け取るまでに、早くても丸一日、うまく調整がつかないと週末をまたいで2~3日経過してしまうことがある。指定どおり素朴な和菓子なので餅の部分は当然の事ながら固く、干乾びてくるのであるが、数ヶ月間の「禁断症状」に見舞われている立場からすると、そういうのは全く気にならない。網で焼いてやれば結構香ばしい。ちなみに、魚を焼く網はアメリカでは滅多に見つからないと予めアドバイスを受けていたので、日本から持ち込みである。結局魚を焼いたことは全くなかったが、何度かは大福を焼くのに重宝したものだ。ただ常温に2~3日間置かれていると少々カビてきたりするので、焼く前にあちこちを摘み取ってやる必要がある。そんなものでも、人間は元来草食だから植物性の食べ物が少々傷んだ程度で体にはあまり影響がない、という理屈をつけながら食べていたのだから、「筋金入りの甘党」を自称しても許してもらえるだろう。ついでながら本来は肉食ではないから肉類の傷んだのには弱く、例えば犬なんかは元が肉食だから、人間と強弱の関係が逆になるという、どこかでいい加減に聞きかじった理屈を何となく信用しているのである。

それにしても当時は全く意識がなかったのだが、大福は持ち込み可能な食品だったのだろうか。Webページをいくつか適当に調べてみたのだが、それを待つ身にとってはありがたい事に、正直に申告さえすれば必ずしも不可であることを示唆するような記述は見つからなかったのである。

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