ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

いつもと攻守交替した話

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僕が今住んでいるマンションは築12年以上を経過し、いよいよ大規模修繕工事の時期に突入しようとしている。ビルの周囲に足場を組んで、さらに全体をネットで覆ってやるやつである。幸か不幸かちょうどそのタイミングでたまたま管理組合の役員を引き受けることになったため、修繕積立金なる資金をどの工事会社に投じて修繕工事を行なうべきかを決定する機会に遭遇することになった。小規模マンションとはいえ12年間全世帯が積み立ててきた資金であるから、千万単位の額である。数人で構成される管理組合理事会としての合議制とは言え、これだけの投資を決定する立場になるというのはちょいと気分が良い。普段の仕事では売る立場に立って、製品を売り込む口上を述べたりすることが多いのであるが、売り込んでもらう立場で、しかもこれほどの大きさの金額だから、思わず舞い上がってしまいそうである。こういうふうに思ったりするところが貧乏根性なのだろう

さて管理組合といったところで、修繕工事にはずぶの素人の集まりである。候補となる会社をマンションの管理会社に推薦してもらい、工事見積もりの説明会を開催したのであるが、工事の内容については何を言っているのかよくわからない。業界用語らしい言葉が出てくると、いちいち質問をするはめになるのが少々物悲しい。工事会社のプレゼンが終わると、次は質疑応答である。マンション管理会社代表による鋭い(ように感じられる)質問と工事会社の応酬を見て、なあるほど、そういう点が課題になるのかと傍観者的感想をもってぼんやりと眺め、質問を促されると、生活にどういった影響があるのかという点の確認を行なう。

で、結局どういった会社を選択したのかであるが、プレゼンのわかりやすさとか、質疑応答の的確さとか、現地入りするであろう工事監督役の人格など、およそ技術力とは無関係の要素が決定要因になったのである。素人が心配しそうな点をあらかじめ把握し、その不安を取り除くかのように先回りして用意された資料を見せられれば、きっと実際の工事の際にもその気配りは発揮されるだろうと予想してしまうのである。工事監督役の人格にしても、年齢とか社歴などを判断基準にした程度のものだ。この人なら会社の中でそれなりの発言力を持っているだろうから、何かあったら会社を動かして適切に対処してくれるだろうと思わずにはいられなかったのである。だから業界における経験年数ばかりでなく、社歴の長さも意外に重要だろうと考えたのである。

会社が行なうべき投資を決定することに比べれば、自分達の積立金であるからより身近で真剣になるはずである。しかしながら工事の技術力を測る尺度を持ち合わせていなかったため、工事会社を決定するための判定基準は、結構いい加減なものだったように思う。でも世間でなされる数千万円規模の投資って、案外こんなやり方で決定されるものなのかもしれない。

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