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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

テクノロジーの使い道を考える

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予約後待つこと3ヶ月近く、先日ようやく新車が家にやってきた。13年乗った車と比べると、薄いグレーという色合いはあまり変わらないはずなのだが艶が違う。駐車場に置いてあるだけで何となくピカピカしている。燃費の良さも選定基準にはしたが、年間走行距離はたいした事ないので、流行のハイブリッド車ではなくガソリン車である。エコカー助成金狙いということもあって、納車待ち約半年と言われたハイブリッド車だと、新車登録締切日である3月末には間に合いそうになかったのだ。結果的にはこの制度は半年間延長されたようではあるが。

妻も運転するので、この際だからと言われるままに希望するオプションを付けたのが原因なのだが、今時の車はかなりの電子化が進んでいるようだ。要らぬおまけを買ってしまったと言えばそれまでだが、おもちゃみたいなもので、物珍しさも手伝ってあちこちいじり回しているところである。例えばキーをポケットにでも入れたままドアレバーに手をかけただけでロックが解除されたり、別なところに手を触れるとロックがかかると共に、ドアミラーが閉じたりするなんてSFのようだ。乗り降りの際にキーを捜してポケット内をまさぐる必要がないのである。そしてキーが車内に残されている場合は、ドアをロックできないのだとか。賢いものだ。そればかりでなく、ギアをバックに入れるとカーナビのディスプレーが自動的に後方カメラ画像に切り替わり、ハンドルの角度に応じた車の想定後退路が、歪んだ長方形として実際の画像にオーバーラップするように現れる。だからディスプレー上で停止位置を確認しながら、ハンドル角度を調整すれば良いのだそうな。

こういうのをかゆい所に手が届くと言うのだろうか、それとも余計なお節介と表現する方が正しいのだろうか。乗降の際にキーがどこにあるかわからないなんて事が無いなんて事はまず無いし、キーを差し込んで回すくらいの労力を惜しまなければならないほど切迫した事もない。後退時に不安があれば、窓から首を出せば良いし、どうしてもということであれば一旦外に出て確認すれば済む。タイヤの向きがわからないから進路がわからないなんて、とりあえず車をそろりと動かしてみれば、その先はあらかた想像できるものだ。キーに対する注意力や後退路を予想する想像力を働かせたり、後方のスペースに対する感覚を磨いたりするのは、慣れてしまえばどうという事はないのである。

ローテクに生きる僕としては、何となくテクノロジーに居心地の悪さを感じるのである。どうしても後退時は首を後ろに向けてしまう。レンズを通した景色ではなく、直に見る景色でないとどうもピンと来ない。妻に言わせると、他人を信用しないからカメラまで信用しない、ということらしい。いや、そんなに世間を疑いながら生活しているわけではないんだけどな。

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