グーグルのクラウドを支えるテクノロジー > 第106回 Googleの新しい分散型SDNコントローラー「Orion」(パート3)
私が編集支援しているCTC教育サービスのコラム「グーグルのクラウドを支えるテクノロジー > 第106回 Googleの新しい分散型SDNコントローラー「Orion」(パート3)」が公開されました。興味がある方はご覧ください。
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はじめに
前回に続いて、2021年に公開された論文「Orion: Google's Software-Defined Networking Control Plane」に基づいて、Googleのデータセンターに導入された分散型のSDNコントローラー「Orion」を紹介していきます。今回は、グローバルネットワークシステムであるB4ネットワークへのOrionの適用例、そして、Orionの性能データを紹介します。
B4ネットワークへのOrionの適用
前回の記事で説明したように、Googleのデータセンター内には、Jupiterと呼ばれるローカルネットワークシステムがあります。そして、世界各地のデータセンターのローカルネットワークは、B4ネットワークと呼ばれるグローバルネットワークで相互接続されています。より具体的には、各サイトにあるFBR(Fabric Border Router)と呼ばれるルーターシステムがB4により相互接続されており、FBRの配下にJupiterのローカルネットワークシステムが接続される形になります。FBRは、OpenFlowで制御される複数のスイッチが連携してBGPルーターの機能を提供しており、内部的にパケットの負荷分散と経路の冗長化が行われます。FBRはSupernodeと呼ばれる単位でグループ化されており、前回の記事の図2にある「FBR Supernode」がちょうどこれにあたります。このSupernodeごとに、これを制御するOrionのコントローラーが配置されています。
Orionを通じてデータセンター間の通信経路を制御する仕組みは、図1のようになります。図の中央にある「Routing Engine」は、前々回の記事で説明したように、Orionを通じてスイッチ間のルーティングを制御するサービスですが、ここには、さらにその上位のさまざまなサービスがあります。特に、図の上部にあるCentral TE ServerとBandwidth Enforcerが、アプリケーションごとの通信経路を制御する「Traffic Engineering」の機能を提供するシステムになります。
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