グーグルのクラウドを支えるテクノロジー > 第97回 インターネット上のロードバランサーの構成調査(パート1)
私が編集支援しているCTC教育サービスのコラム「グーグルのクラウドを支えるテクノロジー > 第97回 インターネット上のロードバランサーの構成調査(パート1)」が公開されました。興味がある方はご覧ください。
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はじめに
今回からは、2020年に公開された論文「Classification of load balancing in the Internet(PDF)」を紹介していきます。この中では、ネットワーク経路を調べる伝統的なツールである「traceroute」をロードバランサーを含む経路に対応するための拡張手法が提案されており、さらにこれを用いた実際の調査結果が示されています。
tracerouteの基本的な仕組み
はじめに、一般的なtracerouteの仕組みを簡単に説明しておきます。IPネットワークでは、パケットを中継するルーターには、それぞれに個別のIPアドレスが設定されています。ネットワークに送出したパケットは、複数のルーターを経由して送信先の機器に到達しますが、途中で通過したルーターのIPアドレスがわかれば、どのような経路を通っていったかが把握できます。tracerouteは、IPパケットに付随するTTL(Time to live)という情報を用いて、経路上のルーターのIPアドレスを調べます。
TTLは、パケットが送信先の機器に到達するまでに通過できるルーターの最大数を表します。たとえば、TTL=3に設定したパケットを送出すると、ルーターを通過するごとにTTLの値が1ずつ減っていき、3つ目のルーターでTTL=0になります。すると、3つ目のルーターはこのパケットを破棄して、パケットを破棄したことを示すメッセージを送信元の機器に通知します。tracerouteは、このメッセージの中にパケットを破棄したルーターのIPアドレスが含まれていることを利用して、経路上のルーターのIPアドレスを確認します。はじめに、TTL=1に設定したパケットを送信すると、1つ目のルーターでパケットが破棄されるので、このルーターからの通知メッセージにより、1つ目のルーターのIPアドレスがわかります。次に、TTL=2に設定したパケットを送信するすると、2つ目のルーターでパケットが破棄されて、このルーターからの通知メッセージにより、2つ目のルーターのIPアドレスがわかります。このようにして、送信先の機器にパケットが到達するまで、TTLの値を増やしながら何度もパケットを送信する事で、経路上のすべてのルーターのIPアドレスを取得します。
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