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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

社内コミュニケーションツールのキラーコンテンツ~社内掲示板で炎上する?~

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電子メールに代わるビジネスコミュニケーションツールが流行しつつある。チャットと電子掲示板を合わせたようなもので、たいていは以下のような機能を備える。

  • 1対1または複数人によるプライベートチャット(メッセージ)
  • グループごとに制限された公開チャット(掲示板)
  • 他のツールとの連携

多くのツールは他のツールと連携することで、自動的な情報収集やチャットボットなどが実現できる。ファイル共有機能を持つものもある。また、APIを公開している製品も多い。どの製品も、LINEのようなチャットツールに慣れた人には使いやすいと思う。しかし、新しいツールを受け入れない人も一定数存在する。

私が新卒で入社した会社は、全世界の事業所がプライベートネットワークで結ばれていて、電子メールのアカウントは社員全員に割り当てられており、電子メールなしに仕事はできなかった。しかし、顧客はそういうわけではなく、「電子メールを送ったので読んでください」と電話したこともあった。とにかく、日常的に利用する習慣がないのだから仕方ないのである。

それでも、1対1のコミュニケーションなら「読んでください」と言える。しかし、グループコミュニケーションの場合は対象を列挙するのが面倒だし、そもそも対象を特定していない場合もある。毎回何度も全社員に告知するのであれば、コミュニケーションツールの意味がない。


社内コミュニケーションツールの「キラーコンテンツ」

「新しいツールをどうやって利用させるか」には多くの人が悩んでいるようだ。うまいアイデアだと思ったのが「社員食堂のメニューを載せる」というものだ。社員食堂のメニューは、ビジネス的な重要性は高くないが、社員にとって重要な問題である。これをきっかけにアクセスしてもらえば、ツールにも慣れてくるだろう。社内コミュニケーションツールの「キラーコンテンツ」と言える。

その他、前職で人気のあったのは「売ります・買います」や「何でも質問コーナー」である。誰が何を言っても構わない「SoapBox」も人気があった。soap boxは「石鹸箱」の意味である。段ボールが発明される前、石鹸は木箱に詰められて卸されていたらしい。この箱に乗って公園などでスピーチをしたことから「公の場で、自分の意見を自由に述べること」自体をSoapboxと呼ぶようになった(英Wikipedia「Soapbox」)。Googleで「soap box」を画像検索するとよく分かる。


炎上騒ぎに便乗

「炎上騒ぎ」をきっかけにアクセスする人が多かった。Web掲示板での炎上は珍しくないが、社内で起きるのは珍しいと指摘されたので、書いておこうと思う。もっとも、参考にできるようなものではないと思うが。

顔が見えないと表現がエスカレートするのはどこも同じで、自分と合わない意見があると相手を罵倒する人が何人かいた。罵倒しているつもりはなくても、表現が厳しいので、書き込みをためらう人も多かった。ちょっと失敗したら「Notesに書くぞ」と脅す冗談があったくらいである。

古くからパソコン通信をやっていた人には、ASCIInetのjunk.testの雰囲気と言えば通じるだろうか。インターネット(JUNETと呼んだ方がいいか?)のニュースグループfjでも同様の炎上騒ぎがしばしば見られたが、その雰囲気とも似ていた。

喧嘩というのは、自分に被害が及ばない限り面白いものらしく、炎上騒ぎがあるたびに読者が増えた。私はASCIInetで鍛えられていたので、炎上には構わずよく書き込んでいて「○○さん(炎上騒ぎの本人)はどういう人なんですか?」とよく聞かれた。会ってみるとごく普通の人だったというのはfjも同じである。

社内コミュニケーションツールで大事なことは、仕事以外のこともある程度含めることである。このバランスは大変微妙で、プライベートが多すぎると「見る価値なし」と判断されるし、ビジネスの話だけだと息苦しくなる。ニュースグループfjでよく炎上していた某先生は、「斉藤由貴メーリングリスト」に入っているという話を聞いて、ちょっと見る目が変わった。そういえば、学生時代も、非常に厳しい数学の先生が、実は桜田淳子のファンだと知って印象が変わった記憶がある。厳しい上司が、アイドルの追っかけをやっていたら、もう少し仲良くしてみようと思うかもしれない(もっと距離をおこうと思うかもしれないが)。

社内コミュニケーションツールを導入している方、これから導入しようとしている方は、仕事を離れた内容についての場も作る事をおすすめする。


【追記:コミックマーケットにサークル参加】

前勤務先とASCIInetとfjの名誉のために付け加えると、いずれも大半のコミュニケーションは紳士的なもので、役に立つものだった。「売ります・買います」にはお世話になったし、「SoapBox」の議論はほとんどが楽しかった。LispやOPS5の掲示板では技術的なこともいろいろ教えてもらった。「炎上」はたまにある事故のようなものであったことをお伝えしておく。


【おまけ】第95回コミックマーケットにサークル参加

今回も、猫写真サークル「まぐにゃむフォト」として、友人のユニット「ねこやま猫道」とともにコミックマーケット(通称コミケ)に参加する。12月29日(土)国際展示場(東京ビッグサイト)の西ホール「ゆ」24bである。

社内コミュニケーションツールでも告知している。来てくれた人はほとんどいないが、猫好きというのは知られているようだ。

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