ETロボコン参戦記 ~ 2年目のジンクス or リベンジ ~ (3/4)
【ETロボコン参戦記 ~2年目のジンクス or リベンジ~ その3】 ~2006年度参戦記~
(2006年度の参戦記については、富士通ラーニングメディアのHPに掲載されていたものですが、HPリニューアルとともに破棄されたためこちらに再掲します。)
●高速走行は実際の”車”をヒントに・・・
ここからは、各チームの担当者より、走行戦略を語っていただきましょう!!かなり、突っ込んだ話もあり、これからETロボコンに参加するチームは必見です。(おそらく。。。)
私たちKnowledgeWingチームは、高速走行をすることが目的であり、それ以外の機能としては「最低限の信頼性のみ」というコンセプトで挑みました。
最低限の信頼性を実装することがポイントなので、何が最低限の信頼性なのかを突き詰めた結果、マシンの光センサーの脱落防止と、確実にライントレースするということが最低限の信頼性であるとの結論が得られました。また、高速走行とは何かを突き詰めた結果、いかなる状態でもモーターパワーは最高速度の255のままという結論が得られ、それを実装することにしました。
実装に当たっては、事前に作成されていたモデルが、モーターパワー255で走行しており、これを手本に、さらなる高速化機能を付け足しました。
実装時に考慮したことは、自動車を運転する際の動きを考えた点がポイントです。高速走行時にハンドルを強く切ってしまうと、車体のブレが大きくなるので、ハンドルは弱く切ります。また、低速走行時にハンドルを弱く切ってしまうと、曲がれません。
この考え方をもとに、高速走行時と低速走行時のステアリングのパワーを変えています。
また、高速道路を走るときは、進行方向とのズレを短い間隔で常にチェックする必要があります。反対に、一般道路を走るときは、速度が遅いため高速道路を走行する時よりはズレをチェックする間隔が長くても構いません。実装では、高速走行時の1回の繰り返しでは数命令しか実行していませんが、低速走行時の1回の繰り返し内には、ハンドルを切りすぎていないかどうかの判定を行っています。
●最後まで微調整を繰り返した難所走行
アクティブウィングチームは、白黒判定をする通常走行をベースとして難所に挑戦する事をコンセプトに掲げました。まずは、コース図から、Zクランク、点線ショートカットの走行戦略を練り、走行案を出し合いました。試走会で実際に走行させてみて、繰り返し微調整を行うこと。
前途多難で「このままでいいのか・・」と悩んだ事もありましたが、最初にコンセプトを決め、モデルも作成を進めていたため、最後まで設計書どおりに実装しようと努力できました。それでは、各難所担当者のコメントをどうぞ・・・
<点線ショートカット>
昨年までは「マーカーを判断しなくても点線を走るコース」でしたが今年からは「マーカーを絶対判断させないと走られないコース」になっています。私たちのチームもマーカーを判断するロジックを入れており、マーカー判断後は白を認識したら黒よりもスピードをUPさせています。
マーカー判断、白/黒判定後のスピードUP/DOWN判断が微妙にコース(照度)によって違うのでその点が腕の見せ所でしょうか。
実は、私たちのチームもETロボコン当日の走行直前まで調整をしていました。調整中の時は目が血走り、近くに寄りがたい雰囲気をかもし出していたと思います。「がんばれ!」の応援をしてくださった方にもそっけなかったかもしれません。ごめんなさい。
本番当日は、1週目、こんなにうまく走っていいのか???というくらい超快適に点線コースを走破!!!!これなら「完走間違いなし」と確信したのですが、その思いもかなわず、2週目は点線コース走行中に、左にずれたと思ったら・・・リタイアしてしまいました。
<Zクランク>
試走会で挑戦した時には、高速走行状態でZクランクに突入すると、オーバーランしてしまいコース脇の緑色部分を黒線と判定し、上手く走行できませんでした。そのため、低速走行で走らせて見ると、上手く走破できました。しかし、通常走行もこのままのスピードでは勝ち目はなく、どうしてもマーカー判定が必須となります。そこで、今回はマーカーを検知すると、低速走行に切替え、Zクランクに突入するようにしました。
2つめのカーブでは、バックで復帰するスピードを一気に上げ、ぐるんと一回転して方向転換します。ちょっと力技ですが、面白い発想だったと思います。
当日はZクランクにはまってしまい、「痛々しい」、「かわいそう」と思われた方も多かったと思います。ただ、私は違いました。
「あいつなら乗り越える・・・」
そう、彼に想いは伝わりました。皆さんからいただいた拍手は忘れません。。。
次回はハラハラしないで、安定して突破できるように鍛えなおします。
●試走会の舞台裏を垣間見ると。。。大変だ!!
ETロボコンは、如何に速く走行させるか、如何に良いモデルを立案するかといった組込み技術者のナレッジの戦いがクローズアップされますが、その舞台裏では、数多くのボランティアの皆さんによってこの大会は運営されています。今回は、弊社関西ラーニングセンターで本番コースを使用した試走会の開催協力をさせていただくことになり、ほんの少しだけですが運営のお手伝いをさせていただきました。
昨年までは東京でのみ試走会が開催されていましたが、今年は参加チームが増え、西日本地区からの参加チームも多くなったため、大阪でも開催となりました。
今年から、本番コースは布にコースを染色したものが利用され、可搬性に優れたものになっていますが、しわを伸ばすなど運営担当者のお二人が半日近くかけてコース設営を苦労されていました。その姿をみて、このような方々に支えられて開催されているすばらしい大会だなあとあらためて実感しました。運営担当の皆様には脱帽&感謝です。
コースは1202教室内に設けられ、普段は机が並ぶ24名教室ですが、意外とコースを設置するとギリギリの大きさになり、開発用机などを置くと一人とおるのがやっとというくらいの通路になってしまいました。試走会に参加された方々、狭いスペースですみません。
このようにして、6月4日、18日に開催された試走会は無事に終了しました。試走自体は、無事ではなかったチームもあったようですが。。。(私たちも含めて)