「業務」て何だろう
業務設計に関して体系だって記載された文献が少ないので、過去の経験から業務設計に関する文章を起こしてみています。まとまったところで出版でもできればと思いつつも、なかなか奥が深いので筆も進みません。そんな中でいろいろなことを改めて考えてみると、案外基本的なことが明確にできていないことがわかります。
例えば「業務」ってなんだろう、という問いに対して明確に答えを持っている人は少ないと思います。「業務」を一般的に定義すると「継続して行われる作業」となります。しかし、システムがからむ設計作業では、コンピュータで処理する作業に対して、「人手によって行われる作業」または「人が介在する作業」といった定義が一般的になります。
当たり前のことですが、「業務」を実施するためにシステムなどの道具が使用されるわけであって、本来「システム」と「業務」を人が介在するかどうかで分解する必要はまったくありません。「業務」のなかにシステムで実施される部分と人が行う部分が存在するため、業務>システムという図式が成立します。
不思議なことに、プロジェクト管理、要件定義方法など、様々な文献を見ていても、多くはシステムと業務を分解して記述しているものが多くあります。本来的には、要件の中にはシステムを含む業務要件が存在し、それに基づき業務設計を行い、そこから必要なシステム要件が抽出されるはずであると考えます。
システム開発に昔から使用されているウォーターフォール型のアプローチに、システムと(人的)業務を並列で適用し、プロジェクト全体を管理する手法自体が、やはり現実にあっていないため、そのずれが常にプロジェクトを混乱させているのではないかと思います。
アクセンチュアではBIMなど独自のメソッドで、業務とシステムの構築を効率よく行う方法を模索していましたが、未だに決定的な解決策になっているとは思えません。もう一度プロジェクトのあり方、作業の進め方、そして何よりも業務設計・構築を、システム開発から見た規定ではなく、システムを道具としてみた場合の作業として規定していくことが必要だと思います。