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シュレッダーの裁断片から文書を復元

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旧東ドイツの秘密警察シュタージが裁断した膨大な秘密文書を復元する試みに関して、2つのメディアが同時期に記事にしていました。ひとつは”日経サイエンス”、そしてもう一つは”Foresight”です。新聞やテレビ等でも取り上げられていたのかもしれませんが、最近遠ざかっているので定期購読している雑誌のお話だけにします。

裁断したころは89-90年頃、シュレッダーを使い裁断し、シュレッダーが壊れてからは手で裁断していたようです。当時の感覚からも(今でもそうですが)、裁断片からもとの文書が復元されるとは思いもよらなかったのでは無いかと思います。

裁断された翌年から数年かけて、人手である程度の復元を行ったそうですが、同時にそのペースでは数百年かかるということも明確になったそうです。その結果、1万6千袋の復元作業を正確にかつ早く終了させるために、フラウンフォーファ研究所がEパズラーというシステムを開発し、すでに実用に入っているようです。これは、裁断片を全てスキャナーで読み込み、色、形、紙質、文字の大きさ、手書きであるかなどの情報を集積して、共通項のあるものを集め、書類を元の形に戻していくものだそうです。

このシステムは、いろいろなところで反響を読んでいるようで、犯罪捜査、建物や構造物の復元、考古学など様々な分野で活用され始めているようです。

その一方で、ドイツでは秘密文書が復元されることに対して、利害が反するためか、妨害する動きもあるようです。これは単純な科学技術の話とは異なり、圧政化の遺物のようなものでしょうか。

この話を読んで、まだまだコンピュータの使用用途を開拓する余地があるとともに、実現の妨げになっている基本的なアルゴリズムを開発することで、思いもよらぬ領域での横展開が可能になるような重要な基本技術が開発されていない、つまり発展途上の技術領域であると感じました。

また同時に、個人情報保護等の情報保護の観点からは、やはり文書は裁断処理では不十分で、焼却・溶解まできちんと行う必要があることも再認識させられました。まだ誰でも手に入れることが出来るシステムや技術ではないと思いますが、技術の進展のスピードを考えるとやはり近い将来当たり前のように裁断片を復元することが可能になるのではと思います。基本は原型が無くなるように処分すること、これが情報保護の鉄則だと思います。

Comment(2)

コメント

軍事評論家の江畑謙介さんの本(インフォメーション・ウォーだったか?)で読んだ記憶があるのですが、1960年代にシュレッダーが開発された当時、米軍が山のように購入してベトナムの前線の作戦司令部や軍艦、さらには爆撃機にまで積んだそうです。書類が不要になった時だけではなく、敵襲を受けたときにも作戦指示書や地図をはじめとする機密書類を裁断するのに使ったそうなのですが、たとえば爆撃機が被弾して墜落する間にも、暗号解読器の破壊と同じレベルでシュレッダーを使って機密書類を可能な限り裁断するように命令されていたそうです。

当時のシュレッダーはパスタ状に裁断するものだけだったそうですが、裁断屑を回収されて復元されてしまうことが多々あったこともきっかけ一つとなって、縦横に細かく裁断してしまうシュレッダーが開発されたという話でした。


シュタージがどの程度のシュレッダーを使っていたか良く知らないのですが、縦横裁断の切り屑から元の文書を復活させるとしたら・・・壮大なパズルですよね。すごいかも。

大学などに長年所蔵されている羊皮紙の書物にはバラバラになって読めなくなったものがたくさんあるそうです。そこで、羊皮紙であることに注目してDNA解析により復元しようとする試みがあると聞きました。

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