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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

顧客サービスは、コストではなく投資である。

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企業経営の行き詰まりは、コストと投資の穿き違えから生じます。

効率重視のデル・モデルを否定!米ザッポスの“反常識”経営

デルの強みといえば、サプライチェーン・マネジメントのお手本とまで言われた超効率経営。ただ、その行き着く先は、戦略の選択肢が狭まることであり、限られた付加価値でのコスト競争であった。
今もデルの効率重視経営を目指している会社は多いと思います。扱っている商品・サービスがコモディティ化する中で、効率経営だけを追求すると、厳しいコスト競争に巻き込まれ、自ら疲弊する道を選択していることに気づいていない会社も多い感じです。
ザッポスの顧客サービス関係コストは他社より高い。一方で、ザッポスのマーケティング効率はよいという。顧客サービスは経費でなく投資である、これによりリピート顧客が増え口コミ(ソーシャル・ウェブを含む)で顧客が集まる、とザッポスのCEOは語っている(出所:CEOプレゼンテーション)。 一般に、既存顧客の維持にかかるコストを1とすると、新規顧客の獲得には5~10、遺失顧客の再獲得には50~100のコストがかかるという(出所:Rob Yanker, McKinsey & Co.)。そして、顧客保持率を5%改善すれば収益性は75%改善する(出所:Frederick Reicheld, Harvard Business School)との指摘もある。
成長が続く世界では、顧客を失うデメリットに関しては目をつぶっていることが可能です。収益を支えるのは新規顧客であり、効率重視で低コスト運営だけを考えればすむことになります。しかし、業界が成熟し既存顧客からの再注文の比重が高まっている場合、顧客を失うことは10倍の獲得コストというハンディキャップを背負うことになります。

そのような状況下では、顧客サービスはコストではなく投資である、という考えが欠かせません。

広告やキャンペーン、あるいは大手との提携に大金を投じるのでなく、顧客サービスに資源を集中することで、顧客ロイヤリティ醸成、そして口コミによる顧客獲得を成し遂げている。
コストをセーブするのは経営の王道です。そんなことは、みんな分かっています。難しいのは、何をコストと考え、何を投資と考えるかであり、そこに経営者の資質が見てとれるものだと思います。
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