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プーペガール

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昨日に続き、女性向けコンテンツのご紹介。

謎の人気サービス「プーペガール」とは?

プーペガールというサービスを一言で説明すると「ファッションに特化した登録制SNS」ということになります。「プーペ」というサービス名はフランス語の「人形」を指す言葉から来ていて、このネット上の分身にさまざまな洋服を着せ替えて楽しむサービスです。
アバターとくくってしまうこともできますが、定型的になってつまらないアバターに、着せ替え人形の要素を組み入れたものと言えるでしょう。
自分が持っているファッションの写真を投稿することでアイテムやリボンがもらえるから、ユーザーは写真を投稿するわけですが、これは参加している女性に「私はこんな素敵なものを持っているのよ」と自分の持ち物を自慢できる、格好の「免罪符」になっているようです。やはり女性には自分の洋服やアクセサリーを自慢したい気持ちが少なからずあるはず。あからさまにブログで自分の持ち物を披露するのも、ちょっと気が引けてしまう、という人でも「プーペに着せ替えるアイテムやリボンをゲットするためだからね」と遠慮なく自分の持ち物を並べることができるわけです。
自慢をカムフラージュする動機づけが巧く使われている感じがします。
販売によって稼ぐことができるのは、この仮想空間の中だけの通貨「リボン」なわけですが、このリボンを使って、他の参加者が「着せ替えフリマ」と呼ばれるマーケットに出品しているアイテムや、「キャサリンショップ」と呼ばれるオフィシャルショップで販売している洋服や小物を値段として設定されただけの「リボン」を支払うことで購入することができます。
会員制サービスの鍵を握るのは、仮想通貨の所有だと思います。通貨を所有することで、モノやコトにその世界での価値を付与することができます。そういう考え方からすれば、実際の通貨との交換は不可とするのが、ビジネスを始めるときの基本だと思います。
他の人の着こなしをチェックするユーザーの行動特性にあわせて、ユーザー同士がファッションセンスを評価したランキングを表示する機能も用意されています。2007年2月28日にサービスを開始してもうすぐ1年ですが、広告プロモーションをいっさいしないクチコミだけで広がって、会員数は現在約8万人です。さらに女性の「自分語り」の思いに乗ってまだまだユーザー数は増えそうな勢いです。
自分語りとはいえ、ランキング表示は重要です。センスの良さが問われます。
プーペガールの人気は、ひとつには話題をファッションのみに限定したことにあると思います。ファッションに関係の無いものだけど「自分語り」につながる、「食べ物」「書籍」「CD」「DVD」「インテリア」「生活雑貨」「楽器」などは、プーペガールでは投稿禁止です。ものたりないと感じる人もいるかもしれませんが、なんでもOKにしたのでは、やはりサービスとしてのエッジが立ちません。ファッション以外は駄目ですよと、明確にラインを引いたことが、かえって限定された中で自分を語りたいというココロに火をつけているのです。
ユーザ数を闇雲に増やすには限定しない方がいいのでしょうが、巨大な先行者がいる現在では、絞り込みがサイトの価値を上げます。さらにOpenIDの流れが加速すれば、その傾向はさらに高まると思います。
生活者が多様になっている今だからこそ、なんとなくある商品ではなく、明確なターゲットであり、コンセプトが必要、とよく言われることですが、その先に「生活者が自分自身のことを語りやすくしてあげる、そんな商品やサービスであるか」という視点を入れてあげることで、ぐっと商品とユーザーとの心の絆が太くなります。そして頻繁に利用してくれて、その商品のことを大いに語ってくれて、ほかのお客さまも連れてきてくれる。そんなスパイラルが生まれると思うのです。
ブログマーケティングにも通じる視点ですね。
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