親が反対しても、子供はやる
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親が反対しても、子供はやる(大前研一著、PHP出版社)は、10年前の本の復刊ですが、とても参考になりました。
20世紀は、「答えがある時代」だった。そして、その答えを「先生」と呼ばれる人が教えて、子供たちは覚える。それで通用する世の中だった。ところが21世紀は、「答えのない時代」である。それどころか、問題は何かということを自分で定義し、どう解決すればいいかを自分で考えなければいけない。あるいは、答えがいくつもあるからこそ、自分で考え、悩んだうえで、行動する勇気を持つことのほうが重要なのだ。(6ページ)世の中に新しい価値を提供していくベンチャー企業にも通じる考え方です。実行する勇気を持つには、自らの事業が社会に必要であるという強い確信が必要だと思います。
事業を成功させるのは、学校をいい成績で出るよりも難しい。事業では、人のやらないことをやらなくてはならない。誰でもやることには、あまり福がないからである。学校では誰でもやることを、誰でも知っていることを、人よりも正確に答えればいい。この二つは似て非なるものである。(16ページ)誰もやらない世界は正解の見えない世界です。見えている正解を正確に覚えることで評価される習慣がつくと、正解の見えない世界では身動きが取れません。優等生がベンチャーに馴染まない理由でもあります。
これからはパソコンによって、覚える必要がなくなってくる。(中略)産業革命から近代史が始まって以来、はじめて覚えなくていいことが多くなってきたのです。(54ページ)分かっている世界のことは、パソコンやインターネットに保存されています。従って、何でもかんでも覚え込んでいくことは、従来よりは意味が失われていると思います。
親があまりうるさく干渉しすぎるから、子供が逆の方向に行くのです。私自身がそうでした。少年時代は、親の言うことと、先生が注意することの全部逆さまをやって、生きてきたんですから。親が反対しても、子供はやる。むしろそれを前提に親子の対話を活発にしたほうが、親のためにも、子供のためにもなるのではないか(120ページ)投資先の指導に関しても、頭ごなしに命令するキャピタリストが多いのは悲しいことです。起業家はもともと反骨精神あふれる人々なのですから、言うことを聞かないことに不満を覚えるのではなく、言うことを聞かないことを前提にして関係性を保っていく必要があると思います。
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