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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

ワイドショー型複合不況

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企業の不祥事に対するマスメディアの容赦のない糾弾に関しては、やや辟易としていたところだったので、違う視点を提供してくれるコラムがありました。
ワイドショー型複合不況で沈む日本経済ーーーテレビが業界の息の根を止め消費者を排除する

日銀の金融政策も政府の経済政策も、景気は上向きというコメントを繰り返すばかりで、これまでこうしたミクロの落ち込みがマクロに及ぼす影響をトータルに捉えてきませんでした。
政府や日銀の発表に違和感を覚える人は多いと思います。原料・素材など絶好調な業界があるのも分かりますが、落ち込みの激しい業界もあります。勝手な推測ですが、政府の調査手法は継続性を重んじるあまり、農業など第一次産業従事者が20%以上だった頃と同じやり方で、川下よりも川上に比重の大きいものになっているため、景気上向き論が跋扈しているような気がします。
弱い立場の借り手にお金が回らなくなった点でも、日本はアメリカに似ています。消費者ローンや商工ローンの高金利を下げるための貸金業法の改正が、国内の金融活動を縮小させています。
ベンチャー企業に対する融資姿勢も非常に厳しいものがあります。好調な業界に属する企業に安心して大量に貸し付けるのが収益のつながることも理解できますが、金融業界の担う社会的役割を鑑みて、それでいいのかという部分は残ります。
インチキな金融商品や強引な勧誘の被害を防ぎ、包括的に一般投資家を守るために、と金融商品取引法ができ、今年施行されました。延々とリスクの説明が続くだけでなく、70歳以上の人には商品の販売を制限するなどということが末端では行われているようです。
投資家保護を目的としながら、行き過ぎた規制が多大な社会的コストを伴い、一般の投資家を排除する仕組みになりつつあることは認識しておく必要があるでしょう。
お茶の間の正義の味方である有名司会者やキャスターが、この会社、この業界は許せない、と言うと大変です。経営者は誰だ、どんな奴だ、ということになり私生活まで含めた攻撃が始まります。ついこの間まで、小泉改革、市場原理、官から民、を支持したテレビが、今度は金儲けそのものを批判します。
庶民の代弁者として、テレビの攻撃姿勢は容赦ないものがあります。大昔のジャーナリズムよろしく、資本主義の根幹である「金儲け」に対する批判が続いています。
法律や規則は建前、守るのはバカだと思ってきた会社や業界、業界と持ちつ持たれつだった行政や政治、お上が守ってくれるものと信じミスを許さない消費者。それぞれが、原因を作ってきました。三すくみになっていますから、ほぐしていくのは大変でしょう。
今も続く、日本社会の特徴を的確に指摘されていると思います。本来、本音と建前があった訳で、建前を100%実行しろと言われると行動を控えて萎縮するしかありません。
テレビ自体が捏造と偽装を行い、虚偽の報道をしてきたことも明らかになりました。ところがテレビだけは不問に付されます。そうして、正義の味方のテレビに後押しされて、思いっきり厳しい法律やルールができ業界の息の根が止まっても、切実に利用したい消費者が排除されても、今度は誰も責任は取らないのです。
テレビの影響力を考えれば、捏造問題は絶対に看過できない問題です。しかし、テレビ自体が報道しないので、あっという間に風化します。テレビに怯えて出来た厳格すぎるルールは、消費者を排除する方向で運用されていきます。白い恋人の販売が再開されましたが、食べたいものが食べられる世の中が続いて欲しいと思います。
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