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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

お金がありすぎて失敗した

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「お金がありすぎて失敗した」――「Twitter」創設者の“再チャレンジ”は、共感する部分の多い記事でした。

「『なんでこの方法でやらないのか』と常に疑問をぶつけてくる“いい社員”だったが」が、「権限のある人に従って、誰かのために働くというのが嫌だった」とウィリアムス氏は振り返る。
起業するきっかけとして、会社の成長のために出した意見が権限者によって葬り去られる、というのはよくある話です。自らの信念を大切にする人こそが、イノベーションを生み出していくと思います。
1999年にベンチャー企業Pyra Labsを設立し、「Blogger」を開発。オライリー氏も出資していた。だがネットバブル崩壊が直撃し、資金繰りに行き詰まる。「『暗黒の時代』だった。2001年末には、7人いた社員は全員解雇しなくてはならなかったが、Bloggerと会社だけは何とか残った」(ウィリアムス氏) Bloggerは成長を続け、100万人以上のユーザーを獲得。2003年2月に、会社ごとGoogleに売却した。ウィリアムス氏もGoogleに転職。4年ほどで辞めた。
資金繰りに行き詰まり、社員に給料が払えなくところが分岐点になることはベンチャー企業ではよくあることです。社長が自らの報酬をゼロして、どのくらい続けられるかが復活の鍵を握ります。
「自分がやっているサービスが何なのかをきちんと理解する前に、資金を集めすぎてしまった」――ウィリアムス氏はOdeoの敗因をこう分析する。「Bloggerの時と逆だ」。オライリー氏は指摘する。ウィリアムス氏は言う。「間違った場所にフォーカスを置いてしまった」と。「プロダクトを作っている以上、ユーザー体験の向上に最も力を入れるべきだった。だがお金があったせいで、プロダクトそのものより、会社を成長させることに注力してしまった」
資金が集まりすぎると、企業の価値を生み出すこと以外(広告とか事務所とか)に使われて、製品やサービスの開発に力が注がれなかったりします。顧客のことを忘れると、知恵が出てきません。資金余剰は、知恵の枯渇を招きます。
Odeoは複雑だったが、Twitterはシンプルなサービスに徹した。リアルタイムの情報を伝えられ、人と人とのつながりがあるのが特徴だ
成功するビジネスは、シンプルです。わからない世界で複雑にしてしまっては、訴求力はありません。
Twitterの使われ方は多様だ。テーマを決めて記録ツールにしている人もいれば、仲間との連絡に使う人、ビジネス関連の告知をする人など――初めてTwitterを見た人は「いったい何に、どう使うんだ」と疑問に思うかもしれなが、「ブログや他のアプリのように、ユーザーが使い方を考えてくれる」
プロシューマのコンセプト通り、使い方はユーザに考えてもらうことが、成功の鍵になります。Web2.0で語られるインタラクション性は、ビジネスの展開・成長にも重要な意味を持つことになります。
Web2.0時代のサービスのよしあしはユーザーが決める、と2人は同意する。「失敗してもいいという気持ちで作り、気に入ってもらえなければ別のサービスを作ればいい。『これしかない』と突き進むのはWeb1.0的。経験から学んでいくことが重要だろう」(ウィリアムス氏)
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