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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

コンプライアンス不況

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インターネットの浸透で、バレやすくなった世の中では、生活者と信頼関係を保つことがより厳しくなったと思います。そんななかで、コンプライアンスの重要性は増すばかりですが、規制と自由経済のバランスを考えながら、法令順守を進めないと思わぬ弊害も生じかねません。
建築法改正で不況? 国交省の準備不足で混乱

改正法は耐震偽装防止のため、手続きの厳格化と罰則強化を打ち出した。そこまではよかったものの、改正内容を詳述した技術指導書の発行が法施行2カ月後になり、偽装防止の切り札とした構造計算用の新ソフトがまだ完成しないなど、後手後手の対応になっている。
法律の施行時期の判断は難しいと思います。正しいことだから即時施行すべきという基本線は認めつつ、実際の運用にあたって準備が必要な部分に関しては、十分な周知徹底をはかる必要があります。
加えて、厳罰化を恐れた建築士や審査機関側が必要以上に慎重な対応をとり、細かな訂正でも建築申請の再提出を求め、混乱に拍車をかけた。もともとが「おおざっぱだった」(都内の建築士)という業界の体質は否めないにせよ、この点についても、過剰な対応を把握しながら、「時間が経てば慣れる」とばかりに甘く見て、具体策が遅れた国交省の責任は大きい。
規制強化が実施されると、一時的な過剰反応があることも事実だと思います。特に審査責任を問われるようになると、審査が自己目的化しがちになります。昨今の監査法人をめぐる動きに関しても同様の感があります。何のための審査、何のための監査かを見失うことなく、審査や監査をすることで、いい世の中になるようになるよう心がけて頂くことを期待しています。
経済成長の足かせとなっているのはまぎれもない事実。「規制官庁だから、経済が分かっていない」(財務省関係者)との批判は当面収まりそうにない。
経済成長と規制のバランスは、自由主義経済にとって永遠のテーマですが、緩やかな成長さえ阻害する規制は再考の余地があると思います。ある程度、当事者の良心に期待する余地も認めていく必要があるように思います。

参考
コンプライアンス不況(江上剛)
コンプライアンス不況が日本を滅ぼす(木村剛)
コンプライアンス不況(池田信夫)

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