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ベンチャー企業の成長について、現場で思うこと

ファンドに気持ちを込める

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先日、ミュージックセキュリティーズさんの全量純米酒ファンドの話を聞きました。もともと同社は、好きなミュージシャンを応援する手段として、リスナーがパートナーとして参加できる音楽ファンドの運営をされていましたが、ファンド組成のノウハウを生かして、東京レストランファンドや今回の全量純米酒ファンドを組成されています。特に今回は、金商法(9/30施行)が変わるタイミングでもあり、その志の確かさには敬服の至りです。(プロと呼ばれる人たちは、大半が様子見です)

話を聞いただけでも、全量純米酒に拘る背景や全量純米蔵を応援したい担当者の方の気持ちが切々と伝わってきました。第一号(TVで取り上げられたこともあり、2ヶ月の予定が9日間で販売完了)になった、神亀酒造を盛り上げることは、日本の文化・伝統を守ることにもつながっていくのでしょう。

VCが運営するベンチャーファンドは、規模的な問題やポートフォリオ投資というリスク分散の手法の影響で、投資先に対する思いは、さほどのものではありません。従って、投資判断も他社追従が多く、関与の仕方も悪化したら問責するみたいな意味のないことになっているのが実情です。検討に時間をかけるのが良しとされ、検討中にビジネス環境が変わってしまうことも数多くあります。

かなりな成熟社会になりつつある日本社会に新たな繁栄をもたらす役割の一端は、ベンチャー企業が背負っています。熱い気持ちで真摯に事業に取り組んでいる経営者も数多く存在します。ただ、直接金融を担うべきVCは、組織的な運営で行われており、気持ちの入った投資をされているキャピタリストの数は、起業家の数に比べれば少なすぎるのが現状の大きな問題点です。ベンチャー企業に資金が提供される仕組みを構築していく必要があります。

社会全体としては豊かになっている訳ですから、自分の資産の使い道は自分で決めていきたいものです。税金としてお上に使い方を委ねるのではなく、自分が好きな起業家や事業に出資や寄付ができれば、もっともっといい世の中になるような気がします。利得を求め過ぎると、平成電々やL&Gに出資することになるのでしょうが、利回りでなく自分の嗜好にあったものに投資できるファンドスキームが出来ていくことを期待しています。

Wikipediaは広告収入はなく、ほとんどを寄付だけで運営しています。
Wikipediaに1万人以上の寄付全量純米酒ファンドやWikipediaの運営にこそ、今後の将来像のヒントがあると思います。

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