社内情報とブログ
サイバーエージェントの社員が、ニュースリリースの配布前にその内容の一部を勝手に自身のブログで紹介した件に関しては、賛否両論が飛び交っています。
CA社員リリース前に情報漏えい 問題あるかないかの議論沸騰
アメブロがデマをまき散らかしてクソ迷惑なのでまたWeb屋のネタ帳みたいなことを書く
アメブロのRSSのアドレス変更の是非の問題(私は、リダイレクト付けるべきだと思いますが)は識者の意見を聞けばいいと思いますので、ここではリリースとブログとの微妙な関係について、書いてみます。
企業の効率的な情報伝達手段として、従来は、マスメディアに対してニュースリリースを配布していました。最初に入った会社でも、霞ヶ関の記者クラブにリリース原稿を封筒に入れて、50部ほど投げ込んでいました。配布時間は厳格に守られ、リリース原稿は入念に事前のチェックがありました。上場企業の情報開示、という意味合いもありましたが、マスメディアと公平に接する手段でもありました。この手法によって、企業は自らの風評をコントロールすることが可能でした。
インターネットが普及し、ブログなどで個人が情報発信できるようになると、上記の情報統制による風評コントロールは少しづつ支配力が弱まっていきます。従来は握り潰していた、お客さまからのクレームや社員の内部告発などが、想定外に知れわたります。古くは、東芝のクレーマー事件や三菱自動車の隠蔽問題など、情報統制で隠蔽していた事実が露見しやすくなり、法令順守の重要性が声高に語られるようになりました。
最近の赤福やミーとホープや不二家の問題のように、法令違反の場合は情報統制を違反隠蔽に使っているので悪質ですが、微妙なのは、今回のサイバーエージェントのようなケースです。実際に犯罪行為を隠蔽したり、虚偽の事実の捏造ではない訳ですから、情報統制も可能でしょうが、ブログでの情報提供が先行したことで、情報統制がなっていないという批判は、少々論点がずれている気がします。情報自体(RSSのアドレス変更)の是非を問うべきであって、いい加減な情報に対する対処法は、経験を積んで個人がリテラシーを上げていくしか方法はないと思います。
企業を守るという美名のもとに、ブログに勝手なことを書くな、という情報統制を厳しくすることが、いい企業の条件だとは思いません。「書くな」と禁止するよりは、書き方の指導をすることこそが、Web2.0時代に求められる企業姿勢だと思います。