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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

クラウドがナレッジマネジメントをもう一度進化させる

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ナレッジマネジメントと言えば、グループウェアといったソフトウェアの出現とともに、90年代に大ブームとなった、一種の経営手法であることは多くの方がご記憶かと思います。企業の競争力を高めるための、知識の発見、共有、創造、活用を、より日々の企業活動の中に埋め込んでいこうとするものでした。電子メール、掲示板に始まり、情報共有データベース、企業内ポータル、そして各種アプリケーションの一部としての情報共有の仕組みが、このテーマの下で様々に開発されました。

形式知と呼ばれる、形式化され体系化された知識については、グループウェアや一般のアプリケーションの一部として蓄積、共有、活用しようという試みが随分なされました。が、そこまでの形式化は困難で、またはそれを活用するためには、暗黙の背景や、ちょっとした感覚や経験の断片などの、暗黙知と呼ばれるものの重要性が次第に叫ばれ、暗黙知は人しかもっていない、ということでノウフー(Know-who)という知識を持っている人が重要と、専門家データベースや、コミニティーを支援するITという流れになっていきました。

ただノウフーはある意味、ITではできないから人に聞いてみよう、というものです。人を見つけるにもその人のデータベース化という形式化が必要になります。それが原因かはわかりませんが、それから10年以上、企業のナレッジマネジメントは表舞台からは次第に影が薄くなっていきました。

一方で、皆さんの馴染みの情報共有やコラボーレションのITは、検索エンジン、Wiki、チャット、ブックマーク共有、SNS、ブログ、マイクロブログなどと、企業内とは少し距離のあるインターネット、コンシューマITの世界で、ここ10年成長を遂げてきたわけです。そしてここにきて、これらの技術が企業内にも入りつつあります。チャットで問い合わせをボットのアプリケーションにする、Wikiでプロジェクトをまわす、社内コラボレーションにブログを使う。そしてここにきてTwitterを代表とするマイクロブログ的なものを企業内アプリケーションと絡めて使うところまできました。

SalesforceのChatter、SAPの12sprints、IBMのProject Vulcanと、続けざまに、Twitter的なタイムラインを持ち、さらに業務アプリケーションと連携して使うといったものが発表されてきました。さらにそこにGoogle Waveが絡んで使われようとしています。

わたしもTwitterにはまって早くも半年。ブログのように意見をきっちりまとめなくても書けるし、知識の断片でもいいし、背景がわからなければ聞き返せるし、さらに書いているうちにアイデアが膨らむし、と何か90年代のナレッジマネジメントで言われていた暗黙知的なものを交換できるツールではないかと思うようになりました。

ただ、上にあげた3つの新しい企業むけのツールは、ベータから始まり、すこしずつ使ってもらい成長させていくようにも思えます。裏を返せばこんな風につくれば正解というのがないからかもしれません。人間の思考プロセスを助けるツールはなかなか定型化は難しいでしょう。Web 2.0的に永遠のベータとして、いろんな使い方をされて、いろんなフィードバックをもらっていくうちに、暗黙知を如何に企業内で流通させるかという課題の本質に近づいていけるのではとも思います。

永遠のベータ、頻繁なフィードバックと改善。まさにクラウド上で作らなければうまくいかない世界です。Twitterのユーザーになり、また社内でマイクロブログを使い、暗黙知という言葉を思い出しつつ、「クラウドがナレッジマネジメントをもう一度進化させるのでは」、という感覚を持つようになった次第です。

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