今現在とクラウドとの境界
Amazon Web Servicesが面白いサービスを始めるそうですね。AWS Import/Exportという名前で、要は物理的なディスクを郵送することでS3のストレージにアップロードしたり、逆にディスクにダウンロードして送り返してくれたりするそうです。1TBのデータを1Mbpsの回線であげたら楽に80日以上かかるので現実的な郵便でのディスク送付だそうです。今現在のディスクというリアルの世界と、Amazonのクラウドのバーチャルの世界との境界を、古典的な郵送という方法でつなぐものと言えますよね。企業の災害対策でバックアップテープをバイク便で運ぶ、といったような極めて現実的かつコストの安いサービスと言えるでしょう。
ところで、きのうたまたまVMware社の米国のエグゼクティブの方とディスカッションする機会がありました。VMwareの機能強化はまさにデータセンターをどんどん仮想的にしてクラウド的にしていく方向性なわけですが、そのためには仮想化したものと、仮想化していないリアルをどう共存させて、運用管理していくかが課題だ、という話になりました。これもまさに今現在のデータセンターのITリソースと、仮想化したITリソースとの境界を、いかに繋げてすすめていくかというものですよね。
Microsoftはクラウドに対してSoftware+Serviceという戦略をたてて、その中で例えば、Officeをサービスとしても、PCのソフトウェアとしても、いかに連携して動かせるかということを一つの狙いにしているようです。これもまさに今現在とこれからのクラウドのOfficeとの境界をどう連携していくかだと思います。
将来はほとんどクラウドと考えるか、それともクラウドとオンプレミスやPCクライアントのソフトウェアの連携した世界と考えるか、それぞれのベンダーの考え方は違うかもしれません。が、この2つの境界をどう扱うか、どんな仕組みを作るかは、ユーザーがクラウドを現実的に使えるかの鍵となるような気がします。