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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

「クラウド・ビジネス」入門とシステム監査技術者

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オルタナ・ブロガーの林さん執筆の、「クラウド・ビジネス」入門を遅まきながらやっと読ませていただきました。それにしてもすでに事務局だよりにもたくさんのレビューがとりあげられていて、あらためてオルタナ・ブロガーの皆さんの猛烈な読書欲に脱帽するばかりです。

わたしが関心させられたのは特に第1章と第4章ですね。第1章の「事例から学ぶクラウド」は、このような新しい技術分野の本にありがちな、その定義や内容の説明を、あえて2ページ程度でかけぬけて、実際の事例を複数あげて、それを解説しているところに、読みやすさや、理解のしやすさを感じました。特に、複数のユーザに実際にお話を伺って書いているところなどは脱帽ものです。

第4章の「クラウドの時代に備える」では、ビジネスでクラウドを使っていくためのリスクを、事業者、サービス、ネットワークといった視点で並べています。コンプライアンス、セキュリティー、信頼性など、今現在で各種クラウド・ベンダーなどがどのようにそれらに対して対応や表明しているかが記述され業界の様子が概観できます。

この分野は実際のクラウドの採用でもっとも議論されるところでしょうから、そのとりかかりとして助けになるでしょう。また、今後もこの分野は進化した議論が続くでしょうから、さらなる上級編のネタになるのではとも思いました。

新しい技術分野とはいえ、実際の採用ではその技術の話もさることながら、新しいサービスを外部から調達することのリスクの検討。これがSaaSなどアプリケーションごとに起こったとしたら、企業のIT部門で今後より必要な人材は、そういったリスクをどう取り扱うべきかを検討できるスキルを持った人ではないかと思いました。あの難しそうなシステム監査技術者試験に受かった人ですかね。特殊、第一種、第二種という古典的枠組みで育った私もまだまだ勉強しなきゃと思わせる一冊でした。

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