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企業ITもクラウド的な世界に向かい始めた今日この頃を徒然に‥

サービス稼働率などの信頼を得る方法

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クラウドの"サービスの信頼度"を高めるためには、契約できっちりその実現されるサービス稼働率と、それを実現できなかったときのペナリティーまで宣言してもらう。確かに正論かなとも思います。一方、現時点で企業が信頼して使っている外部のサービスは本当にSLAといった契約で、そのサービスの信頼度を確実なものにしているのでしょうか。

クラウドの親戚でもあり、歴史あるサービスであるネットワークについて、SLAをどうしているかちょっと調べてみました。多くのキャリアがここ数年、法人系のいくつかの種類のサービスで、SLAとペナルティーを定めているようです。例をあげると、NTTコミニケーションズNTT東日本NTT西日本KDDIAT&Tなどの一部の法人系のサービスなどで、99.9%から99.99%くらいのサービス稼働率のようです。

では電力はというと、ざっと調べる限りは見当たりませんでした。ただ夏の電力不足のときに、サービスレベルを落とすというか、送電を制限するようなオプションつきの企業むけ格安サービスがあるという話を聞いたことがあります。これはSLAとまではいきませんが、安いサービスへのサービスレベル定義と言えるかもしれません。

電力はすでに社会的にかなり信頼を得ていますが(選択の余地がない?)、企業や公共施設では自前で自家発電を持っていたりしますので、SLAがなくとも自前を含めて電力のサービスレベルは高く維持できるでしょう。

その他にも企業は広く外部のサービスとして、物流サービス、宅配便、郵便その他たくさんの外部サービスを使っていますが、これらは法人の特別な契約でない限り、SLAなどはないはずです。

クラウドでは前回触れたように、SLAでサービス稼働率を定めているところがありますが、まだ大多数というほどにはなっていません。おそらくネットワークのように本来SLAを定義すべきなのかもしれません。

一方、クラウドは電力やネットワークと違って電気、ネットワーク、サーバー、ミドルウェア、その他ソフトウェアなどと、サービスを支えるリソースの種類がかなり多くなり、かつサービスも複雑そうです。SLAとそのペナルティーを定義するとなると、クラウドのベンダーはかなりの投資か、リスクを覚悟の上でやらなければならないのかもしれません。

SLAの定義をしないで、そのサービスの信頼度を理解してもらう方法は、あとは実績の公開でしょうか。実際、SaaSでかなりの規模になっているはずのSalesforceは、SLAは提供せずに、リアルタイムでシステムの稼動状況を公開するという方法をとっています。

他のベンダーも、たとえばiQubeというグループウェアのサービスではサービス稼働率の実績値や障害などを随時公開するなどでその信頼性についてアピールしています。

あと面白いと思ったのは、第三者がサービスのレベルを監視して実績を公開しているという例が出始めました。Hypericという米国のシステム管理ソフトウェアの会社が提供しているClousStatusというシステムで、まだベータのようですがリアルタイムにGoogle AppとAmazon Web Serviceのサービス状況を世の中に公表しているものです。

契約でのSLAできっちり宣言してしまうか、自ら積極的に実績を示して信頼感を得るか、はたまた第三者がサービスレベルを計って公表し信頼を与えるか、クラウドのサービスの信頼度は、サービスの複雑さなどからいろいろな信頼の獲得の方法がありえるのではと思いました。

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