クラウドは川の流れのごとし?
クラウド"的"で始めようと今週つらつらとITmediaとかいろいろ見てました。それにしてもすでにクラウドのネタ随分ありますね。ITMediaで検索しただけでも2000件以上。"cloud computing"でGoogleすると1200万件で、"grid computing"が400万件なのですでに猛烈な量です。カタカナでも双方200万件以上でクラウドのほうが多く検索されます。去年から今年に本格的に使われている言葉としては記録的な広がり方でしょう。
さらに今週はヒートアップした話もいくつもありました。特に激しいのがOracleのElison氏のクラウドという言葉の乱用批判。それにフリーソフト運動の元祖Stallman氏の、そもそもクラウドはユーザーが管理権を失う"愚かな考え"という主張。どちらもお二人の個性が前面に出た激しさですね。
もちろん、特に今年はバズワード化して乱用されている"クラウド"ですから Elison氏の言うことも一理ありますが、気付けばグリッドのときと同じようにOracleもクラウドのパイオニアとして自らを位置づけてAmzonと組んでクラウドの中で動くソフトを宣伝しています。また管理を失うリスクがあるというStallman氏の主張も、クラウドの一つの課題を指摘はしていると思いますが、GmailもAmazonもみんなダメという主張は、かなり違和感もあります。
こういった典型的なITのバズワードとなったクラウドですが、まあそう批判されてもやむを得ないでしょう。過去にも例えば、人工知能、ユーティリティー・コンピューティング、プッシュ技術、オートノミック、オンデマンド、グリッド・コンピューティング、最近ではグリーンITとか様々なバズワードがこの業界ではもてはやされてきました。
ただこれらは下火になった今、無くなった技術や概念とも言えないでしょう。人工知能は最近ゲームなどを中心に進化、利用されていますし、プッシュ技術もWiiなどで使われているという話があります。そしてユーティリティーやグリッドなどは、一緒になってクラウドになったように見えます。
技術の用語や概念は、まるで川のように源流があって、それらが合流して大きな本流となり、一部はまた支流として別れ、ときには地下にもぐって流れ続けたり、分かれた支流がまた他の合流によって大きな流れになる。そんなようなものですよね。短い間で他の川と合流して猛烈に大きくなった川は、元の源流を大事にしている人、他の大きな川を大事にしている人からもは、認めたくないということで非難されたりするものです。
その川もそのまま大きな川で流れていくか、呼ばれ方が変わっていくか、はたまた、支流となって違う流れや名前になっていくか、これから見守っていきましょう。そんな今、"クラウド"と呼ばれているものを中心に、クラウド"的"なものを、色々な切り口でみなさんと考えていければと思います。