イオン銀行への期待
イオン銀行が金融庁から営業免許を取得したようです。
いろんな観点から、セブン銀行とは異なる期待が持てます。
私が就職活動をしていた頃、銀行業は金融業界において花形。
銀行マン・銀行ウーマンは、金融業界へ就職したい学生の憧れでした。
就職して少しずつ戦略コンサルティングにも関わるようになり、都市銀行が1000億円近くも毎年IT投資をしていた当時の現状を知ったとき、その額には正直愕然としました。
その後、コンサルティング業界の働きかけも少しは寄与したのか、平均投資は3割~4割くらい削減の方向に向かいます。今は平均的に、600億円前後に定常時は落ち着いているようです(3年くらい前の独自調査範囲にて統計)
まあ、それでも、メガバンクと呼ばれる都市銀行のIT投資は、例えば数十億円程度の地方銀行に比べても格段に巨大です。ちなみにこれは証券業や保険業の大手においても、これまた巨大なIT投資を行う現状はあるのです(注:数値はおおむね5年くらい前までの各年大手の統計から説明しております。現状は企業によってはさらに削減されたり、M&Aにより一時的に倍増しているところも一方ではあるようです)。
これに比べて、イオン銀行の百数十億円の投資は、決して大きくはありません。が、しかしもちろんイオングループとしては、100億円超の巨大投資であることに違いもないでしょう。
何より、都市銀行並の全国ネットワークをこの投資規模で新銀行システムとして作り上げたのですから、なかなかにご立派な心意気といえます。
かつて長銀が失墜し、新生銀行誕生の際も、某インドのパッケージあたりを中心に100億円を(確か)切るIT投資で新銀行システムを構築したというNEWSがあったかと思います。正直、あのくらいのNEWSインパクトを今回は感じます。
これでイオン銀行のサービスが評判良く、且つそれを支えるのはITの寄与が一番大きい、となれば、メガバンクにおいても、この投資の考え方は、充分参考にされていくことでしょう。
結局、顧客というのはリテールであれ法人であれ、提供をうけるサービス、実際に取引する商品に対する質で評価をするわけです。これからはスーパーにいけば銀行もあって、しかも夜は9時まで営業している(と記事では発表されています)わけで、都市銀行とのガチンコ勝負も充分に有り得るでしょう。何より、セブン銀行との勝負という見方もあるわけですから。
補足しますが、都市銀行の商品・サービスが悪いと言ってるわけではありません。
ただ、目を見張るほどの改善があったかというと、それも正直疑問でもあります。
ITという意味ではかなりの革新がありました。しかし、それは本当に全てが顧客の望んだものだったのでしょうか。
欲しい場所に店舗がない。
行きたいときには激混み。
テラーの応対も大して進歩なし。
申し訳ありませんが、特にリテール顧客の多くはそんな溜飲をまだまだ下げることができません。
イオン銀行は祝日や年末年始も営業するそうです。
キャッシュカードには電子マネー「WAON」を搭載し、イオン銀行の口座からWAONへの「オートチャージ」を可能にするそうです。
取扱商品は、保険商品、投資信託や住宅ローン、カードローンなども順次提供したいと発表しています。
流通のトップ企業が本格的に銀行業に参入。
或る意味、別の角度からみて顧客サービス業の「匠」が、銀行業に注入されることになるのです。
10月20日がとても楽しみです。