1980年代の若者向けトーク番組での糸井重里さんの司会ぶりで印象に残っていること
オルタナブロガーの工藤拓也さんが「糸井重里に学ぶ、『BRUTUS4月15日号』」というエントリーを書いてらっしゃいました。私も糸井さんには、1980年前後にコピーライターとして華々しく活躍されていたころから興味を持っていて、「ほぼ日刊イトイ新聞」も毎日チェックしています。この糸井さんを特集している『BRUTUS』も買ったのですが、まだ読んでません。面白そうな特集なので読むのが楽しみです。
私が大学生だった1980年代前半に、NHK教育で『YOU』という若者向けトーク番組をやっていて、当時コピーライターとして注目を浴びていた糸井さんが司会を務めていました。その『YOU』を初めて見たときの糸井さんの司会ぶりが印象に残っています。それまで、通常の討論番組やトーク番組では、最後に司会の方が、まとめで結論めいたことを言うのが一般的でしたが、糸井さんは特にまとめようとせず、「結論はありません」というようなことを言って番組を締めていたのを見て、こんな司会のやり方もあるのかと思ったことを覚えています。その後、何度かスタジオ観覧にも参加しました。
現在、震災と原発事故により、放射能はどうなるのか、復興はどうするのか、夏の電気需要をどうするのか、自粛すべきか、海外の風評をどう振り払うのかなど、問題が山積していて、それらの問題に対して、専門家、政府、マスコミ、一般人みんなから、いろいろな情報や意見が出てきています。正直なところ、どの情報や意見が正しいのかは、私にはほとんどわかりません。むしろ、これらの社会的問題は、学校の勉強と違い、決まった正解はないと言えます。だからこそ、「これが正しい」と安易に結論を出そうとせず、「わからない」という状態に耐えていくしかないと思っています。その上で、視野を広く持ち、この人はこのように言っている、あの人はあのように言っているということを一通り頭の中に入れておいて、このへんが事実に近そうだなという暫定的な自分の判断を持ちつつ、その自分の判断をむやみに他の人に押しつけることなく、自分の判断にしたがって自分のできる行動をしていくということかなと。とにかく安易に結論を出して思考停止してしまわないように気をつけたいですね。