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顧客サービスとITのおいしい関係を考える

人を動かすものの言い方

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CRMコンサルタントをしていることもあって、ホテル業界の接客サービスやホスピタリティーには関心を持っています。

平日の昼過ぎのことでした。私はお客様と待ち合わせで、あるホテルのロビーにいました。

このホテルはオフィス街にあります。ホテルのロビーの快適なソファは昼休みのサラリーマンにも人気があるようで、宿客泊とは雰囲気の違う人が何人か座っていました。昼食後の一休みという感じでした。

その中の一人が熟睡してしまったようで、大きないびきをかき始めました。それもロビーの反対側でも聞こえるような大音量です。そこそこ格式のあるそのホテルには明らかに場違いでした。

いびきはしばらくしても止む気配がありません。他のお客様も気にしているようです。

さて、このような状況の時、どうするべきでしょうか。寝ているところを起こして出て行くように注意したら、自分のことを棚に上げて、逆ギレして大騒ぎになるかもしれません。

ホテルがどのように対応するのか、私は非常に興味を持って成り行きを見ていました。すると、一人の女性従業員が近寄ってきて、優しく肩を叩いて言いました。

「お客様、大丈夫ですか。」

この対応は私によって全く予想外で、非常に感心しました。

宿泊客でもないのに昼寝に来ていびきをかかれては、ホテルにとってはかなり迷惑でしょう。だからと言って一方的に追い出したりすると、回り回ってどこでホテルの不利益になるかわかりません。

「大丈夫ですか」という声かけは、相手を怒らせるものではありません。実際、脳溢血などではいびきをかいて意識不明という場合もあるようです。相手の気分を害さず、いびきという問題を解決するには最善の方法と言えるでしょう。

目を覚ました当人は、1時になると立ち上がって出て行きました。ロビーは再び静けさを取り戻したのでした。

このような対応方法はホテルとしては普通の対応なのかもしれませんが、ものは言いようだ、とあらためて感じました。

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