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紛争やチェルノブイリとは全く別の顔を持つ多数の天才的IT技術者を輩出したIT大国、ウクライナの真実の姿に迫る。

速報!ベラルーシのIT企業が大挙して国外脱出!行先はウクライナ。東欧のシリコンバレー崩壊。 柴田裕史

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前回のブログでも書いた通りウクライナの北の隣国、欧州の北朝鮮ベラルーシでは8月9日の大統領選挙の選挙結果があからさまに操作されていた為、(同国を26年間統治するルカシェンコ大統領が80%以上を得票)国を挙げての混乱、デモ、政権による国民経の弾圧、逮捕、暴力が未だに続いており、インターネットをブロックするなど最早基本的な国民生活やビジネス活動を行えないレベルにまで達しており大混乱状態に陥っています。筆者としては覚醒したベラルーシ国民が遂にソ連的メンタリティから抜け出しウクライナの様に自由民主主義国家群の仲間入りをする時期に来たと思っており全面的にベラルーシ国民をサポートしたい気持ちです。

そんな中、ベラルーシの基幹産業と言っても過言でなく、貴重な外貨収入源となっている同国のIT企業へルカシェンコ政権が一斉に強制捜査に入りました。これに反発したベラルーシのIT企業連合は公正な再選挙を行うまでベラルーシから国外へ拠点を移転、IT技術者やサーバーなども全て国外へ脱出させるという処置を取り始めました。

ベラルーシのテック企業 混乱の最中ウクライナへ脱出を開始

同国政府の弾圧、企業への強制捜査やインターネットの遮断などに反発し、ベラルーシ企業は今ウクライナへと脱出を始めている。例えば同国を代表するIT企業Viberはミンスクオフィスを完全に閉鎖し、従業員全員をリモートへ移行、一部をウクライナの拠点に移動した。ロシアの巨大インターネット起業Yandexはベラルーシの従業員全員を国外へと移動させた。その他の多くの企業はウクライナを含む隣国へと従業員を国外脱出させている。

ウクライナは政府を上げてベラルーシ人の受け入れに積極的だ。ベラルーシ人への移民枠を上げ、IT技術者の移住プロセスを簡略化した。ウクライナのIT企業からの招待状があればすぐに労働許可が下りる。ウクライナはこれを機にベラルーシのITスペシャリストを受け入れ、元々強いIT産業を益々強化する考えだ。ウクライナのIT専門家はIT技術者一人当たり35000米ドルの利益をウクライナへもたらすという試算を出している。さらにウクライナの方が税制面でも有利だ(ウクライナIT技術者の所得税は5%のみ、ベラルーシは9%)。ウクライナIT業界とベラルーシのそれとの違いのひとつとして政府から独立して動いている点が挙げられる。ベラルーシのIT経営者のひとり曰く「いかに(ベラルーシ)政府から自分の会社を守るかを常に考えねばならず、ストレスだ」と語る。別の関係者は「今は一時的な国外脱出だがいずれ永久に独裁国家へさよならすることになるだろう」と語る。

IT産業はベラルーシの輸出の22%、GDPの6%を占める一大産業だ。(筆者注:これはウクライナの比率より高い)しかし今回の混乱で同国のIT産業は壊滅的な被害を被るであろう。「今の状況で誰もベラルーシへ投資したくない」同国IT関係者は語る。

<参考リンク>

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ベラルーシの弾圧の次の犠牲者 - 急成長の同国のIT産業

ベラルーシの巨大IT企業であるEPAM、Yandex、Wargaming社などは8月9日の大統領選に端を発した混乱で本社機能を次々に国外へ移しつつある。ベラルーシIT産業はルカシェンコ大統領のバックアップの元で急速に発展してきた。しかし同国のIT企業群が民主化運動をサポートし始めた今年その両者の中立的関係の均衡が崩れた。

その発端となったのが同国のハイテク・パーク(HTP)の所長ヴァレリー・ツェプカロ氏がルカシェンコ大統領不支持を表明したことだ。同氏はポーランドへ亡命し国へ帰ると数年の懲役刑に服さねばならない。

不正選挙と言われた大統領選の後、300ものベラルーシを拠点とするIT企業のCEOがベラルーシ政府が国民への暴力を止めない限り国外移転をすると表明した。同国を代表する巨大IT企業EPAMの幹部を含むハイテクパークのIT企業のほとんどが反ルカシェンコ派となり民主化運動に参加した。

同国のIT企業の多くがインターネット回線の遮断や治安の悪化を理由に国外へ拠点を移転する計画だ。ViberやYandexだけでなく、外資系IT企業の撤退も相次いでいる。イギリスIT企業でベラルーシに拠点を持つGodelはウクライナへ拠点を移した。PandaDocは従業員のほとんどをウクライナをはじめとする国外へ移す計画だ。多くの企業はこの混乱の長期化を予想し、ベラルーシの拠点を引き払いウクライナもしくはポーランドへ拠点を移す計画だ。

最新の調査ではベラルーシのIT企業12社が既にすべての従業員を他国へ移転する手続きを進めており、59社が一部の従業員やビジネス機能を国外に既に移転し終わり、112社が移転先の精査をしているようだ。

外国人投資家にとってベラルーシはオアシスから投資不適格地域へと突如ダウングレードされてしまった。ベラルーシIT産業はルカシェンコの失政の一番の打撃を食らっている。

<参照リンク>

ウクライナ、ベラルーシ人ITエンジニアの受け入れを開始

実際ウクライナにいる私の周りでもベラルーシ人IT関係者が明らかに増え始めており、ウクライナ政府も彼らのビザ取得簡易化、住居その他もろもろのサポートを始めています。ベラルーシとウクライナは元々対立関係もなく、ビザなし交流もあり、文化も果てしなく近く言語も共通なので移住にあたっての障害は全くないと言えます。2014年時のウクライナ混乱でウクライナのIT業界は壊滅的な混乱を被りましたがウクライナIT業界は不死鳥の様に蘇り、今まさにベラルーシの頭脳を取り込んでより高い位置に行こうとしています。ベラルーシへオフショア開発や投資をしていた日本企業様もこれを機にウクライナへお越しください。

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以上、ベラルーシの隣国ウクライナからの最新レポートでした!!

Ago-ra IT Consulting 柴田裕史へのご連絡は下記まで:

Ago-ra IT Consultingのホームページ

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