コンサルティング会社のAIへの対応は?!! コンサル業界ニュースをわかりやすく解説!!
こんにちは。
今回は、コンサルティングビジネスが直面しているAI対応の現状について、詳しく解説します。
1. はじめに
現在、AIムーブメントは全世界のビジネスを圧倒的なパワーで変えつつあります。そんな流れに置いていかれないように、そしてその流れにうまく乗っていくために、全ての企業はAIを使いこなせるビジネスモデルへの変革を余儀なくされています。
そんな中、企業や行政の変革を促してきたコンサルティング会社は、どのようにAIムーブメントに対応しているのでしょうか。少し前には、AIが導入されればコンサルティングは不要になるのでは、という極端な想像のもと、コンサルティング会社やIT会社の株価が暴落しました。
株価については、現在は若干持ち直しているようですが、そんな中、コンサルティング企業大手のアクセンチュアが10月1日に発表した四半期決算では、売上高が186億7,900万ドルと、前年同期比で6%増え、市場予想をも上回りました。
アクセンチュアのCEO、ジュリー・スウィート氏は「どのAI技術を組み合わせて事業成果に結びつけるか、という点で当社が頼られている」として、2026年度前半には新たに400社超が高度なAI案件を同社と始めたと発表しました。
それによって、AIによってコンサルティングビジネスなどが「中抜き」になる懸念は和らぎ、アクセンチュアの株価は一時24%高まで急伸しました。
2. アクセンチュアのAI対応
さて、このようにAI懸念を数字で払拭したアクセンチュアですが、実際にどのような対応をしているのかを、日経コンピュータ8月20日号の「アクセンチュアの自己変革〜コンサル不要論への回答」という特集から見ていきましょう。
1)組織変革
まず、今までの「業界×サービス分類」の組織から、新たな組織体系へと2026年3月に変更が入りました。これはグローバルでの組織再編です。具体的には、業界区分はそのままに、今までのサービス分類から「業務領域」ごとの以下の7つの区分に変更されました。
・サイバーセキュリティー
・デジタルコア
・ファイナンス
・インダストリー・アンド・エンタープライズ
・ソング
・サプライチェーン・アンド・エンジニアリング
・タレント
このそれぞれの「領域」ごとに、戦略立案からシステムの実装・運用までを担う体制とするようです。ただ、ちょっと部外者には分かりづらい組織ですよね。一方で、コンサルティングとしての売り物は分かりやすくなった感があります。
例えば、サイバーセキュリティー、SAPなどのサプライチェーン関連、会計系のファイナンス、人事系のタレントなど、確かに業務ごとの区分は分かりやすくなりましたね。
2)RDE(リインベンション・デプロイド・エンジニア)の人材育成
こちらのほうが、AI対応を意識した施策ではあるようです。「RDE」とは、別の言い方をすれば、「AIを使って企業のビジネス成果を出すことに責任を持つ人材」だそうです。これはまさに、先ほどCEOが言っていた「どのAI技術を組み合わせて事業成果に結びつけるか」という役割を担う人材ということになります。
実は、この「RDE」と非常によく似た、最近のバズワードがあります。それが「FDE」です。「FDE」とは、米国で2025年ごろから注目されている新しいエンジニアのモデルで、「顧客の現場に張り付いて、エンジニアの視点で課題を見つけ、改善提案をする」エンジニアです。
そして実は、この「RDE」についても、最近では日本企業で採用や人材育成が始まっています。
一方、アクセンチュアは「RDE」は「FDE」とは異なると説明しています。「FDE」はAIの導入・活用を目的とするのに対して、「RDE」の目的は「AIなどのITを使って企業価値そのものの増大を目指す」という点にあると言っています。そして、「RDE」は従来のコンサルティング人月ビジネスではなく、企業の事業成果に連動する成果報酬型を採用するとも言っています。
アクセンチュアが定義するRDEの全体像を、もう少し見てみましょう。以下の3つの階層で整理されています。
(1) RDEの人材像を定義して共有する
(2) リインベンションエンジン(人材育成)
(3)リインベンションパートナー(それぞれの業務組織に分散すること)
個人的に思うのは、今まで私も含めて、アクセンチュアのコンサルタントは、顧客の現場に常駐し、新たなビジネスモデルやITを活用しながら、日々提案・実行をしてきましたので、「RDE」という考え方には、それほど違和感はありません。
AI対応の要素が加わっただけで、「RDE」のモデル自体は、コンサルタント本来のパフォーマンスを活かせるものだと思います。
日本では、エンジニアが顧客をリードする「FDE」よりも、コンサルタントが顧客の現場をリードする「RDE」のほうが合っているかもしれませんね。「RDE」のビジネスモデル自体は、コンサルタントの原点に戻ったもののような気がします。
3)顧客企業と企業変革を担うJV(ジョイントベンチャー)とパートナーシップ契約
アクセンチュアは、2021年からの5年間で、既に以下のような大手企業とのJV設立を発表していました。
・住友化学
・資生堂
・塩野義製薬
・コカ・コーラ ボトラーズジャパン
そして2026年6月には、東京電力グループの子会社「テプコ・ソリューション・アドバンス(TSA)」とのパートナーシップ契約を発表しました。
この会社を例にとると、アクセンチュアは5年間の契約期間を通じて、コスト構造の最適化などにより、累計100億円超の価値創出を目指すとのことです。変革の推進に向けて、TSAの企画やシステムなどの領域で、アクセンチュアの人材が入り込み、共同で取り組みを進めています。
次の事例は、2026年4月にアクセンチュアと戦略的パートナーシップ契約を結んだ日本精工です。こちらも当初はJV設立ではなく、パートナーシップ契約という事例となります。
日本精工では、システム運用・保守などを担当するデジタル変革本部や、人事、経理、開発などの領域で、アクセンチュアの社員が日本精工の社員と一緒に仕事をしながら、変革を進めています。
このように、従来型の業務委託や派遣といったやり方ではなく、経営トップ同士の合意のもと、会社全体として取り組むJVやパートナーシップ契約は、今回のAI対応に合わせた「RDE」と非常に相性が良いように思います。
その意味で、アクセンチュアにとってAIは危機ではなく、ビジネスチャンスになっているのでしょう。だからこそ、業績も伸び続けているのかもしれません。
4)AI企業とのパートナーシップ
先日、驚きのニュースがありました。これによってアクセンチュアの株価も大きく上昇したようです。
アクセンチュアを起用 米アンソロピック、AI安全性評価
(日本経済新聞、2026年9月1日)
AIの安全性をめぐる懸念が高まる中、AI開発をリードする企業の一つであるアンソロピックが、2026年9月18日に、AI開発の安全性評価にアクセンチュアを起用すると発表したのです。
つまり、自社の安全対策が適切かどうかをチェックするために、外部の評価担当者としてアクセンチュアの人材が社内に入り、評価を行うということのようです。
アクセンチュアの評価担当者は、アンソロピックの社員に準じたアクセス権を持ち、開発過程や公開前の安全性テストなどをチェックし、不備やリスクを指摘する業務を行います。
両社は今後5年間で、それぞれ最低10億ドル(約1,500億円)をAIの安全性向上に投じるとのことです。単純な業務委託契約というよりは、先ほど紹介したようなパートナーシップ契約に近いものなのではないかと推測されます。
3. その他コンサルティング会社のAI対応
それでは、上記の日経コンピュータの特集およびメディアのニュースから、その他の大手コンサルティング会社の動向もまとめてみましょう。
1)デロイト トーマツ
デロイト トーマツは「AI活用支援サービス」を立ち上げ、2030年には売上の7割をAI関連で担うという目標を掲げています。特にデロイトでは、AIを適切に運用するためのガバナンス体制の構築や、関連する法令・規制へのコンプライアンス対応の支援に力を注ぐことで、差別化を図るとのことです。
また、先ほどの「FDE」として活動できるエンジニアを拡充するため、2026年6月に日本でFDEの専門組織を設置しました。
自律型AIが定型業務 監査法人トーマツ、会計士の負担軽く
(日本経済新聞、2026年9月1日)
こちらは、監査法人トーマツ自身が行う会計監査業務に、AIを導入した自動化システムを活用するというものです。複数の自律型AIが連携し、証憑の突合から監査調書の草案作成までを自動化できるようにしたとのことです。
気になるのは、この業務効率化によって監査費用は安くなるのか、ということです。ただ、トーマツとしては、こうした定型作業を効率化することで、限られた監査業務の時間をより有効に活用し、企業ガバナンスに関する助言などを通じて、企業価値の向上に貢献していく考えのようです。
2)KPMG
特許の転用可能性分析 KPMG、事業参入を支援
(日本経済新聞、2026年9月8日)
こちらのニュースは、KPMGが2026年9月から開始した「特許価値分析サービス」についてのものです。これは、顧客企業が保有する特許技術について、KPMGジャパン内でデータ分析やAI分野などの専門家が集まる「アドバイザリーライトハウス」という組織と連携して開発したツールであるということです。
KPMG、3年で800人に AI専門コンサル倍増 余剰人材学び直し再配置
(日本経済新聞、2026年8月19日)
KPMGジャパンの人材計画では、2029年までにAI専門コンサルタントを800人規模に倍増させる方針とのことです。また、AI導入を支援する新組織「KPMG AiX」を設けることも発表されました。この新組織は、コンサルティング事業だけでなく、あずさ監査法人やKPMGコンサルティングなど、グループ各社の専門人材を結集する横断組織として、2026年8月に400人規模で立ち上げられました。
そして、こうした人材の拡充は、新規採用だけでなく、AIによる業務効率化で生まれる余剰人員をリスキリング(学び直し)し、配置転換することによっても進めるとのことです。
3)PwCコンサルティング
PwCコンサルティングは、ロボットや機械などを自律的に制御する「フィジカルAI」に通じた人材を増員・育成し、今後1年間で現在の150人規模から1,000人規模に拡大する計画とのことです。
4)マッキンゼー・アンド・カンパニー
高度な専門性を持ち、影響力の大きい上級コンサルタント20人超を「ディスティングイッシュド・パートナー」という新たな役職に任命し、AIも含めた、より高度な専門知識を求める顧客の要望に対応するとのことです。
4. コンサルティング各社トップのインタビューから
ここでは、日本経済新聞に掲載されていた以下の特集と、先ほど紹介した日経コンピュータの特集から、大手コンサルティング会社の日本代表や、アクセンチュアのグローバルCEOのインタビュー内容を紹介します。
「AIでコンサルもう不要?」
(日本経済新聞、2026年8月11日・13日)
<アクセンチュア社長 濱岡大氏>
調査だけを行うようなオールドファッションなコンサルはいらなくなる。コンサルは、個人として顧客に必要とされる人材であり続けなければ、生き残れない。新たなテクノロジーが登場したときには、学び続けなければならない。便利なツールの活用や、インドでのオフショア開発、パートナー企業との提携などを進め、今後は自社での人員増にはこだわらない。
<デロイト トーマツ グループCEO 長川知太郎氏>
AIに何も対応しなければ、業界は滅びる。コンサルティング市場は2030年ごろにピークアウトするとみている。一方で、企業と一緒になって変化を起こしていく役割は、今後も必要とされる。
FDEの仕組みなどを活用しながら、顧客と同じビジネスに身を浸す。海外のデロイト各社での武者修行やリスキリングを通じて、コンサルタント一人ひとりのキャリアデザインをしていきたい。
<PwCコンサルティング社長 樋崎充氏>
本質的には何も変わらない。つまり、企業の構造変革を支援するという仕事の核は変わらない。働き方が効率化され、本質的に考える部分に時間を使えるようになる。
AIが導入されても、人や企業をどう動かすかという意思決定支援の仕事は変わらない。
コンサルティング企業に対するニーズも伸びる見込みであるため、2027年度は前年度比で5~10%程度の人員増加を見込んでいる。社内では、生成AIを使って提案書などの資料を作成するプラットフォームを構築した。
<KPMGコンサルティング代表 関穣氏>
コンサルティングには、「調べる」「考える」「書く」「伝える」「動かす」という5つのステップがある。そのうち、「調べる」「考える」の部分は淘汰されていく。AI時代に重要になるのが、最後の「動かす」というステップだ。そのためには、キーパーソンとの信頼関係が欠かせない。
AIがコンサルティング業務を代替すると、若手が経験を積みにくくなるかもしれない。業界全体として、成果報酬型の契約を訴えていくことになる。
ちなみに、私は以前、関氏と同僚だったこともあり、関氏の「コンサルタントの若手が経験を積みにくくなる」という主張には大いに共感できます。若手が気軽にAIを使うと、その場でのパフォーマンスは向上します。しかし、その経験が本人の身になっていない、つまり、自分で考える経験につながっていない可能性もあるからです。
プロジェクトのパフォーマンスを優先するのか、若手の教育を重視するのか。難しい問題ですね。
<アクセンチュア会長兼CEO ジュリー・スウィート氏>
AIで真っ先に代替されるのは、資料を作成して顧客に提出するだけの「パワーポイントコンサルタント」です。アクセンチュアが掲げる「リインベンション」とは、「今持っているものを生かして、それを変革する」という意味です。
この「リインベンション」を担う「RDE(リインベンション・デプロイド・エンジニア)」と呼ばれる人材の育成に注力しています。
RDEは、テクノロジーだけでなく、業界や業務についても深い知見を持つ人材です。
エントリーレベルの採用は、昨年よりも今年の方が増やしています。さらに、社員のトレーニングには10億ドルを超える投資をしています。AI時代には、継続的なアップスキリングが欠かせません。
5. それでも国内コンサル数は増えている
このように、特に国内のコンサルティング会社各社は、AI対応をビジネスチャンスと捉え、前向きに人材採用などにも積極的に取り組んでいるようです。そんなニュースがありましたので、紹介します。
国内コンサル10万人超え 大手7社、AI導入支援で膨張 米国は削減の傾向強く
(日本経済新聞、2026年6月20日)
2026年度の大手7社の人員数の合計は、約10万2,000人と、前年度から6%増える見込みとのことです。この大手7社とは、以下の企業です。また、公表されていた個別の増加率も記載しておきます。
・アクセンチュア
・デロイト トーマツ グループ
・PwC Japanグループ
・EYジャパン(10%増)
・ベイカレント(25%増)
・ボストン・コンサルティング・グループ
・KPMGジャパン
その理由は、プロジェクト案件が増加しているからです。特に、AI導入関連のプロジェクトが爆発的に増えているようです。この国内企業のAI導入ニーズについて、驚くべき数字があります。日本のAI投資額が11億ドルであるのに対し、米国のAI投資額は、その約260倍に当たる2,858億ドルだそうです。
AI対応において、日米の差が大きく開いていますね。ということは、今後、国内企業のAI導入投資や関連プロジェクトは、さらに増えていきそうです。
また、この記事では、今後の人員増加の見通しを支える要因の一つとして、米国で広がっているFDE型のサービスが、国内でも始まる可能性に触れています。先ほど紹介したように、デロイト トーマツ グループはFDEの専門組織を新設しました。また、アクセンチュアは、FDEにさらにコンサルティングの要素を加えたRDEを、今後、顧客に売り込んでいくはずです。
一方、米国を見ると、間接部門を中心に、アクセンチュアやマッキンゼー・アンド・カンパニーなどが、数千人から数万人規模の人員削減を進めています。
6. AI企業がコンサルを増やしている?
最後に、コンサルティング会社ではありませんが、AI企業の側もコンサルティングサービスに力を入れ、コンサルタントを確保しているという、これまでとは逆の立場からのニュースを紹介します。
オープンAI、コンサル派遣 法人向け新会社 ソフトバンクなど参画
(日本経済新聞、2026年5月12日)
まず、2026年5月11日、OpenAIが顧客企業にコンサルタントやエンジニアを派遣する新会社「OpenAI Deployment Company」を設立したと発表しました。この新会社には、投資ファンドのベインキャピタルなど、複数の企業が共同出資しています。さらに、ベイン・アンド・カンパニーやマッキンゼー・アンド・カンパニーなども出資しているようです。この新会社が提供するサービスは、まさにFDEの派遣というものです。
AI導入コンサルを30万人に OpenAIがパートナー制度
(日本経済新聞、2026年6月25日)
続いてOpenAIは、2026年内にAI導入を支援する認定コンサルタントを30万人確保するという目標を掲げました。
OpenAIのAI導入支援における初期パートナー企業として、以下のようなコンサルティング会社やIT企業が挙げられています。
・ボストン・コンサルティング・グループ
・アクセンチュア
・アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)
・データブリックス
・NTTデータ
7. 最後に
このように、コンサルティング会社 VS AI導入企業という対立構図ではなく、AI導入を進める企業にとっても、コンサルティング会社が提供するRDEやFDEのようなサービスは必要不可欠になりつつある、という認識に変わってきています。
アクセンチュアに代表されるように、RDEやFDEというビジネスを通じて、今後はAI企業とコンサルティング会社が共存共栄していく構図が考えられます。
それでは。
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