EVxロケットのテスラロードスター?!!スペースXとテスラの統合の可能性を解説!!
こんにちは。
今回は、空飛ぶ車のような機能も話題となっている「テスラ・ロードスター」をめぐる動きで注目を集めるテスラとスペースXについて、そして両社の統合の可能性を解説します。
1. 空飛ぶ車「テスラ・ロードスター」
つい先日、驚きのニュースが配信されました。
「空飛ぶテスラ、ロケット技術搭載で飛行デモ スペースX統合に布石」
(日本経済新聞 会員限定記事 2026.10.16)
ついにマスク氏がやってくれました。車にロケット技術を応用したスラスター(推進装置)を取り付け、空中に飛び上がる車を実現しました!
このニュースにはマスク氏のプレゼン時のデモ映像が付けられており、これを見た人は誰でもぶったまげる、失礼、非常に驚くと思います。
イメージとしては「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」に出てきた、ドクの改造型デロリアンでしょうか。こんなデモ映像を見せられて、ワクワクしない人はいないでしょう。まさに夢の車ですよね。
https://www.youtube.com/watch?v=qt5p-_tE8d0
さて、この「テスラ・ロードスター」について少し補足説明しましょう。
今回発表された新型ロードスターは、次の3つのタイプが予定されているそうです。
公道走行向けの2人乗り「パフォーマンス」
後部にスラスターを搭載した2人乗り「スラスト」
車体の周囲にスラスターを搭載した「ロケット」
予約に関しては、パフォーマンスが5万ドル、スラストが25万ドルの支払いを求められると報じられています。ただし、これらは車両の最終販売価格として発表された金額ではありません。
今回のデモンストレーションで披露されたのは、最上位のロケットタイプです。
発表会では、0から時速60マイル(約97km/h)までの加速が、わずか0.81秒という驚異的なタイムを記録したそうです。
一般的なスポーツカーでも、0から時速100kmまでの加速には数秒かかります。今回の数値が実際の量産車でも実現すれば、まさに常識破りの加速性能といえるでしょう。
この驚異的な加速を支えるのが、車体後部などに搭載されたスラスターです。なお、今回使われているのは、ロケット燃料を燃焼させる方式ではなく、高圧の空気を噴射するコールドガススラスターと説明されています。
また、スラスター以外にも、ロードスターには車体下部の空気を吸い出すファンシステムが搭載されているそうです。これによって車体を路面に吸い付くように押さえつけ、デモ映像では車が逆さまの状態で走行する様子まで披露されました。
この仕組みは、単に逆さまになれるというだけではありません。通常走行時にも車体を路面に押し付ける力を高め、コーナリング時の安定性や速度を向上させる効果が期待されます。テスラは、2Gを超えるコーナリング性能も実現できると説明しているようです。
2. テスラの最近のニュース
さて、こうした革新的な新型車を発表したテスラですが、ほかにはどのようなニュースがあるのでしょうか。少し調べてみました。
「テスラが失った『世界戦略車』 中国勢急進で低価格EV断念 生産体制に保護主義の影」
(2026.1.5 日本経済新聞)
テスラは、2024年までEV世界販売をけん引してきた「モデルY」の後継車として、低価格の世界戦略車を構想していました。しかし、低価格帯で急速に競争力を高める中国メーカーとの価格競争が予想を超えたためか、2024年には低価格車の開発計画を事実上断念したと報じられました。
「テスラ電動トラック『セミ』出荷開始 軽油高追い風に10年越し量産」
(2026.9.29 日本経済新聞・会員限定記事)
2017年に発表した電動トラック「セミ」の出荷が始まったようです。発表から約9年を経て、ようやく量産段階にこぎ着けました。将来的には年間5万台の生産を目指しているとのことです。
「テスラ世界販売2%減 7-9月 市場予想上回り株価一時6%高」
(2026.10.2 日本経済新聞・会員限定記事)
10月2日に発表されたテスラの2026年7〜9月期の世界販売台数は、前年同期比で2%減となりました。
このように、テスラの自動車ビジネスは、「モデルY」の後継が決まらない中、新たにトラック「セミ」、そして9月には米国テキサス州で自動運転専用車「サイバーキャブ」の運用を開始しました。
そして今回発表された「テスラ・ロードスター」など、一般の車以外での展開が目立っています。
さらに、イーロン・マスク氏は、テスラを人型ロボットなどのAI関連ビジネスへと転換させる方針を打ち出しています。
「ヒト型ロボ拠点へ転身 テスラ高級EV工場 2車種の米生産終了」
(2026.5.12 日本経済新聞)
テスラは、「モデルS」と「モデルX」という2つの高級車種を生産していたカリフォルニア州の工場で、これらの車種の生産を終了し、新たに人型ロボット「オプティマス」の生産を始めるとのことです。
このように、EV車については、現状では、「モデルY」と小型セダンの「モデル3」がテスラの世界販売台数の大部分を占めています。従来のEVについては主力車種に集中しながら、用途の異なる製品やサービスへと事業を広げようとしているのです。
3. スペースXの最近のニュース
それでは、もう片方のスペースXの最近のニュースを見てみましょう。まずはこちらのニュースを見ると、スペースX事業の全体像がつかめます。
「スペースX850億円赤字 4-6月 AI投資かさむ 上場後初決算 売上高は92%増」
(2026.8.5 日本経済新聞)
「スペースXの重い先行投資 売上高の2倍超、AIに重点 4-6月 5.4億ドル赤字」
(2026.8.6 日本経済新聞)
この2つのニュースでは、スペースXの上場後初めてとなる4〜6月期の決算発表の内容を伝えています。
全体の結果は以下のとおりです。
売上高 78億1,400万ドル(前年比92%増)
最終損益 5億4,100万ドルの赤字(前年は10億ドルの赤字)
このように、まだ赤字が続いているわけですが、その要因を見てみましょう。部門別の損益を確認します。
<衛星通信部門>
売上高 42億9,100万ドル(前年比66%増)
営業損益 16億5,600万ドルの黒字(前年比79%増)
<AI部門>
売上高 25億6,100万ドル(前年比約3.5倍)
営業損益 12億5,700万ドルの赤字(前年は15億2,400万ドルの赤字)
<宇宙・ロケット部門>
売上高 9億6,200万ドル(前年比29%増)
営業損益 5億4,200万ドルの赤字
このように、成長が続くAI部門と宇宙・ロケット部門が損失を出し、それを衛星通信部門が穴埋めしているという構図になります。
AI部門や宇宙・ロケット部門が赤字となっている背景には、巨額の先行投資があります。
この設備投資額は183億6,900万ドルと、四半期売上高の約2.3倍に達しました。市場予想の130億ドル程度を大きく上回る規模です。
それでは、各部門のニュースを拾ってみましょう。
<衛星通信部門>
「スペースX、携帯通信計画 スターリンクで120兆円市場開拓 宇宙開発の原資確保」
(2026.7.5 日本経済新聞)
スペースXが、自社の人工衛星とスマートフォンを直接つなぐ携帯通信サービスを計画しているようです。
この「スターリンク・モバイル」は、すでに携帯通信向けに約650基の衛星を配備済みとのことです。
そして、このモバイル通信市場は7,400億ドル(約120兆円)の巨大市場と見込まれています。現在、先行投資が続くロケットやAIの開発を、通信ビジネスの収益で支える構図を目指しているということです。
「通信速度10倍の衛星網 『スターシップ』周回軌道に スペースX」
(2026.9.30 日本経済新聞)
9月28日、スペースXは大型宇宙船「スターシップ」の飛行試験で、地球周回軌道への到達に初めて成功しました。新型衛星は、従来の衛星に比べて通信容量が大幅に向上しており、下りの通信容量は約10倍になるとのことです。これにより、スターリンクの通信サービスのさらなる高速化が期待されます。
<AI部門>
「スペースX、新AI提供 IPO後初 低コスト型で挽回」
(2026.7.9 日本経済新聞)
2026年7月8日、スペースX傘下のSpaceXAIは、新型人工知能(AI)「Grok 4.5(グロック4.5)」の提供を始めたと発表しました。
この「Grok 4.5」は、アンソロピックの上位モデル「Claude Opus 4.8」などを競合として意識したモデルです。入力と出力の利用料金を競合モデルより大幅に安く設定することで、後発ながらシェアを獲得しようとしているようです。
<宇宙・ロケット部門>
「スペースXの大型ロケット 打ち上げ試験 IPO後で初」
(2026.7.25 日本経済新聞)
2026年7月24日、スペースXは、テキサス州スターベースから世界最大級のロケット「スターシップ」の打ち上げ試験を実施して、ほぼ成功しました。
このスターシップは、衛星通信サービス「スターリンク」向けの人工衛星を宇宙へ投入する役割を担います。将来的には、AI向けの宇宙データセンターの構築に必要な機材を運ぶことも構想されているようです。2026年内の商用化を目指しているそうです。
「スペースX、16兆円新拠点 ロケット打ち上げ、3か所目」
(2026.7.25 日本経済新聞)
スペースXは8月、ルイジアナ州に大型ロケット「スターシップ」の打ち上げ拠点を建設する計画を発表しました。投資額は1,000億ドル(約16兆円)に上るとのことです。
これまでのテキサス州スターベースに加え、フロリダ州でも拠点整備を進めており、今回のルイジアナ州の計画によって、打ち上げ能力をさらに拡大しようとしています。
新拠点では、将来的にスターシップを年間数千回打ち上げることを目指し、敷地内にスターシップ10基分の発射台や機体の整備施設、空港などを整備する予定です。最初の打ち上げは2029年を見込んでいるとのことです。
「スペースX『スターシップ』28日にも地球周回軌道へ 商用化へ新たな段階」
(2026.9.26 日本経済新聞)
「スペースX大型船 初の地球周回軌道」
(2026.9.29 日本経済新聞)
スペースXは9月28日、テキサス州の基地から大型宇宙船「スターシップ」を打ち上げ、初めて地球周回軌道への到達に成功しました。ただし、飛行中にエンジンのトラブルが発生したため、当初の予定を変更し、約3時間の飛行後に太平洋、ハワイ沖へ着水しました。
それでも、今回の飛行では、同社の衛星通信事業「スターリンク」向けの最新型通信衛星26基を軌道に投入することに成功しました。
4. テスラとスペースXの統合は近いのか
さて、そんなイーロン・マスク氏が率いるテスラとスペースXですが、今回の「テスラ・ロードスター」の開発では、両社の技術を組み合わせたと発表されています。両社は、イーロン・マスク氏という共通の経営者のもとで、すでに事業の融合が進んでいるように見えます。
また以前、マスク氏がスペースXによる火星移住構想を打ち出した際には、過酷な環境で活動するための手段として、テスラが開発する人型ロボット「オプティマス」の活用も考えられます。これも、両社の事業が融合する一例といえるでしょう。
そんなことを書いていたら、予想していたとおり、両社の統合に関するニュースが飛び込んできました。
「スペースX・テスラ統合協議 AI軸に宇宙・EV融合 時価総額3.5兆ドル 世界5位」
(2026.10.22 日本経済新聞)
10月20日、マスク氏はスペースXの決算説明会で、テスラとの統合を検討するため、両社に特別委員会を設置したと明らかにしました。
これは「テスラ・ロードスター」の発表からわずか数日後のことです。両社の技術的な融合を印象づけた直後のタイミングだけに、統合構想との関連を考えたくなりますね。つまり、「テスラ・ロードスター」でテスラとスペースXの技術を組み合わせると、これほどすごいものができると見せたうえで、今回の統合検討が発表されたわけです。
市場が注目しているのは、両社が統合した場合に誕生する巨大企業の規模です。報道された時価総額を単純に合算すると、次のようになるようです。
スペースX 2兆79億ドル
テスラ 1超4548億ドル
新会社 3兆4627億ドル
この新会社の規模は、世界の時価総額ランキングの5位アマゾン(2兆8308億ドル)と4位マイクロソフト(3兆9616億ドル)の間に入り、そのまま入ると世界第5位の巨大な会社が誕生します。
この規模は、世界の時価総額ランキングで上位に入る巨大企業に相当し、実際に統合が実現すれば、M&A(企業の合併・買収)の歴史に残る大型案件になる可能性があります。
では、統合にはどのような狙いがあるのでしょうか。
確かに、AI、ロボット、半導体、宇宙インフラなど、両社の技術を組み合わせるメリットはありそうです。一方、経営面では、別の狙いも考えられます。普通に考えれば、成長企業とはいえ、過剰な設備投資によるスペースXの大きな赤字をテスラの黒字で穴埋めしたいのではないかと推測されます。
次のニュースでは、スペースXのAI事業への巨額投資について詳しく報じています。
「AI企業への危うい転換 スペースX、設備貸し頼み 巨額投資、手元資金目減り」
(2026.10.22 日本経済新聞)
スペースXはAI向けデータセンターなどへの設備投資を急拡大させています。報道によると、2026年10〜12月期のAI関連設備投資は、7〜9月期の2倍に当たる最大400億ドルに達する見通しです。
これにより、2026年のAI関連設備投資は最大880億ドルに膨らむとされています。これは、巨大なデータセンターを運営するハイパースケーラーにも匹敵する規模です。
マスク氏は、AIの計算に使うデータセンターの余剰能力を他社に貸し出すビジネスも拡大しています。こうしたサービスの収益を、AI事業への巨額投資に充てようとしているわけです。
さらに、スペースXはデータセンターの計算能力を、2026年9月時点の1.7ギガワットから、2027年中に少なくとも13ギガワットへ拡大する計画とされています。
このように、スペースXはAI分野で大規模な投資を進めており、今後も資金需要が増える可能性があります。
ただし、巨額の設備投資が続くからといって、直ちに資金繰りが危機的な状況にあるとは限りません。設備投資の規模だけでなく、営業活動から得られる資金や保有する現金・有価証券、今後の収益も合わせて見る必要があります。
したがって、テスラとの統合には、技術面の相乗効果だけでなく、両社の資金や設備、人材を一体的に活用する狙いもあると考えられます。
最後に、上記ニュースで紹介されていたスペースXとテスラの企業規模を整理しておきます。これがもし統合されたらまさに世界最強の企業のひとつになりますね。
<スペースX>
時価総額 約2兆ドル
売上高(2025年) 186億ドル
最終損益(2025年) 49億ドルの赤字
従業員数 約2万2,000人(2026年3月)
事業 AIモデル開発、衛星通信サービス、ロケット打ち上げ、データセンター開発など
<テスラ>
時価総額 約1兆ドル
売上高(2025年) 948億ドル
最終損益(2025年) 37億ドルの黒字
従業員数 約13万4,000人(2025年12月)
事業 EV、蓄電システム、太陽光発電、人型ロボット開発、半導体開発など
<新会社(仮定)>
時価総額 約3.5兆ドル
売上高(両社の単純合算) 1,134億ドル
従業員数(両社の単純合算) 約15万6,000人
事業
AIモデル開発、衛星通信サービス、ロケット打ち上げ、データセンター開発、EV、蓄電システム、太陽光発電、ロボット開発、半導体開発など
このように、両社が統合すれば、宇宙開発からEV、AI、ロボットまで、幅広い先端技術を手がける巨大コングロマリット企業が誕生することになります。GoogleやAppleにも匹敵する、あるいはそれらとは異なる分野で圧倒的な存在感を持つ企業になる可能性がありますね。
5. 追加情報
この記事を書いている間にも、テスラとスペースXについて最新の情報が入ってきました。
まず、テスラの7〜9月期決算が10月21日に発表されました。内容は以下のとおりです。
売上高 280億4,600万ドル
営業利益 7億1,800万ドル(前年同期比56%減)
営業利益が前年同期の半分以下にまで減少したのは痛いですね。
この背景には、自動車事業の収益環境に加え、AI関連事業のヒト型ロボット「オプティマス」への先行投資が利益を圧迫していると考えられます。
次に、スペースXです。
売上高 145億7,500万ドル(前年同期比約2.6倍)
最終損益 44億ドルの黒字(前年同期は11億ドルの赤字)
スペースXは、今回の決算で大幅な増収を達成し、前年同期の赤字から黒字に転換しました。その原動力となったのが、こちらもAI事業です。
AI事業の売上高は前年同期比約9.3倍の75億6,000万ドルとなり、営業損益も4億3,100万ドルの黒字となりました。その背景には、AIモデルの開発だけでなく、AIの計算に必要なデータセンターの設備を他社に貸し出すクラウド事業の急拡大があります。
両社のAI事業を比較すると、確かに統合によるメリットはありそうですね。
というより、現状では両社がそれぞれAIの開発や計算基盤の整備に投資しているわけですから、統合することで重複する投資を減らしたり、技術や設備を相互に活用したりできる可能性もあります。
それでは。
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