トリプルメディア論の再考①!?
メディアの整理の仕方として、有名なトリプルメディア論がある。①ペイドメディア(Paid Media)、②オウンドメディア(Owned Media)、③アーンドメディア(Earned Media)の3分類とする考え方。それぞれ、①お金を払って購入するメディア、②自社サイトなどのメディア、③ソーシャルメディアを意味している。
メディアの機能・役割が複線化、複雑化する中では、この3分類ではなかなかうまく整理しきれないと考える人が増えている。
マッキンゼーはこの3分類に加えて、Sold Media、Hijacked Mediaを加えて5分類を提唱する。
Sold=Your company invites other marketers to place their content on its owned media.
Hijacked =Your company’s asset or campaign is taken hostage by those who oppose it.
また、高広氏はユーザー主導型メディア(USER INITIATIVE MEDIA)を加えて、4分類にすることを提唱している。
この定義の問題点は機能分類ではない点だ。大きくは、企業が広告するのにお金がかかるかかからないかという、企業側からの視点の分類に過ぎない。(このため、3つのメディア集合でマーケティング実例を図式化すると、ある集合の中に別の集合が入る形が出てくる)
もちろん、それぞれのメディア特徴を生かして、消費者・生活者の消費購買・行動スタイルを考慮して、メディアを複合的・複線的に組み合わせて広告効果を最大化するという考え方自体は正しい。
成功事例ではFordの例があげられる。トリプルメディアを組み合わせることで、製品発売前から関心を高めて、ペイドメディアで花火の打上げをして、発売後もアーンドメディアを駆使することで、 潜在顧客の関心を持続することができて、予約販売のコンバージョン比率は従来のケースの10倍に達した。
注意点は、既にメディア配分は支出で考えてはならないということだ。重要度、有効性と支出額は既に大幅に乖離しているのが現代メディアの特徴だ。
潜在顧客の関心(Attention)を如何に引きつけていくか、どういう引きつけ方が顧客満足、最終購買に結びつくかのコミュニケーションデザインという考え方が重要となる。無関心時代には関心をもってもらうこと=Currency(通貨)の重みがある。
そして、エンゲージメントの異なる潜在顧客に対して、メディアを複合的・複線的に組み合わせることで、その階段(Ladder of Engagement)をあがらせることで、最終的にどれだけマーケティングROIを高めることができるかである。
今後、このメディアをどう組み合わせてマーケティング効果を最大化していくかは関心が高い分野だが、新しい整理の仕方が必要になってきていると思う。これにはトライしていきたい。
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