生命保険のポジショントークあれこれ
すべての業界、業種、業態のそれぞれの立場においてポジショントークはいろいろあると思います。
一般論としては「間違っていない」と思われるようなことでも、本質的に<?>がつくものや、明らかにミスリードとなってしまうものもあります。
「ミスリードを誘発する我田引水な営業トーク」をポジショントークと勝手に定義して、生命保険業界の事例をお話ししたいと思います。
過去の本ブログで触れている事例があるかもしれませんがご了承下さい。
「この保険はライフステージに合わせて10年ごとに見直しができるようになっています」
このセリフはあちこちでよく聞いたり見たりすると思います。
これは10年更新の定期保険を主力で販売している大手国内生保やラフネット生命のポジショントークです。
ここで言う<見直し>は、主に保障額の減額を指しています(一般的に必要保障額は経年とともに下がっていく)が、大手国内生保においては新商品への切り替え、いわゆる<転換>を見据えています。
10年更新の定期保険の場合、保障額をそのままに自動更新すると保険料が2倍近くに上がりますので、その際に経年とともに下がっている必要保障額に合わせて保障額を下げれば、保険料のアップは抑えられて継続できるというわけです。
問題点は2つあります。
一つ目は「10年ごとに見直しができるようになっています」というトークによって「10年以内の見直しはできない」と思わせてしまうことです。
正味の話し、保障額の減額などの見直しは、基本的に随時できるケースがほとんど(商品によって多少のしばりあり)でありますが、そんことをされたら手間はかかるし、保険料収入は減ってしまいますので、あくまでイメージとしてですが「10年以内の見直し(減額)はできない」と思わせているわけです。
お客様の立場からしても、面倒くさい生命保険についてはさっさと片付けたいので、「とりあえず10年はこのままでいいのね」となり交渉成立となります。
もうひとつは、10年更新の定期保険を10年ごとに保障額を減額して保険料をほぼ同じに継続した場合、<収入保障>と比べるとかなり効率が悪くなってしまうことです。
詳細は以下をご覧下さい。
http://blogs.bizmakoto.jp/shigotonin/entry/2611.html(「10年更新」は誰にとって合理的なのか)
端的に申し上げれば<10年更新の定期保険>は保険会社にとって儲かる商品であり、見直しされずに自動更新されれば保険料が大幅にアップして更に儲かるしくみになっています。
はじめから必要保障額に合わせて、保障を組み立てる<収入保障>であれば無駄な保険料負担もなく、保障の無駄もなく何もアクシデントがなければそのままにしておけばいいわけです。
理由は定かでありませんが、ライフネット生命や大手国内生保は全期型(更新がなく保険料が上がらない)の<収入保障>は販売しておらず、利益率の高い(お客様の保険料負担が重い)10年更新の定期保険をメインに販売しています。
従いまして、「この保険はライフステージに合わせて10年ごとに見直しができるようになっています」というポジショントークにて訴求することになるわけです。
また、大手国内生保におきましては10年更新ものは、更新の少し前に「あと少しで保険料が上がってしまうので見直ししましょう」と営業を掛けてくるきっかけにもなっています。
表向きはお客様に対して最新の保険商品に切り替える提案ですが、保険会社の都合による<転換>促進です。詳細は以下をご覧下さい。
http://blogs.bizmakoto.jp/shigotonin/entry/2429.html(「転換」は極めて不利な下取り)
「この保険はライフステージに合わせて10年ごとに見直しができるようになっています」と言われたら、
「この保険はライフステージに合わせて10年ごとに見直しをしないと、とんでもない保険料負担になりますが、その前に新しい商品を売り込みに行きますので待っててね」と解釈しましょう。
他にもいろいろ書いています。
ご興味があればお立ち寄り下さい。
保険選びネット
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/7578.htm
<具体的な商品の比較など月一で書いています(ほぼ月末更新>
今回は、密かなブームとなっている「貯蓄型の収入保障」の考察です。
ヤフー知恵袋
http://my.chiebukuro.yahoo.co.jp/my/shigotonin38
<知恵ノートはほぼ月二で随時更新、生保関連の質問にも答えています>
ご指名の質問大歓迎です。