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「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

知っておきたい「90日ルール」と「60日ルール」その2

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前回はがん保険における「90日ルール」の説明と注意点をお話しました。
今回は三大疾病保障における「60日ルール」についてお話しします。

前回触れたように三大疾病の対象となるのはがん、心筋梗塞、脳卒中の三大疾病です。
このうちがんについては、前回お話しした「90日ルール」に準じます。
「60日ルール」が適用されるのは心筋梗塞と脳卒中についてです。

三大疾病の元祖は旧アリコジャパン(現メットライフ・アリコ)の「エトワ」という
商品で、最高で三大疾病に備える金額として2000万円まで設定でき、同時に同額の死亡保障も付加されます。
つまり、生前に死亡理由の約5割を占める三大疾病に対して治療費や収入保障を確保し、その支払事由に該当しなくても死亡した際には死亡保険金として支給されます。

後にニッセイが「あすりーと」、第一生命が「シールド」、ソニー生命が「LB(リビング
・ベネフィット)」など他社が追随して発売し現在にいたります。
サブタイトルとして「いきるための保険(エトワ)」、「生前給付保険(LB)」と謳われて
いるものがあります。

「社長、健康なうちに成人病(三大疾病)になったときの利益をを確保しましょう!」と
トップが倒れたら回らなくなる中小企業の経営者に旧アリコの営業マンが勧めて成約しました。
2000万円まで非課税で、経営者が三大疾病で倒れて不在になっても税引き後利益2000万円を確保できるというわけです。

ある日、社長が心筋梗塞で倒れてしまいました。
処置が早く約2週間の入院で済み、さらに約2週間自宅療養をして現場に復帰しました。
併せて約1ヶ月会社を空けてしまいましたが、「2000万円の税引き後利益」が確保されているので、その間の売上と利益は落ち込みましたがなんの心配もありません。

「社長、大変申し訳ありません、ご請求いただいた2000万円は出ません」
と旧アリコの担当営業マンは無情にも社長に告げます。
「話が違うじゃないか!どういうことだ!」
社長が怒り狂ってしまいました・・・。

残念ながら、このケースでは三大疾病の給付金はでません
ここに立ちはだかるのが「60日ルール」です。(ほぼ各社共通)

1、保険開始以後に、急性心筋梗塞を発病し、初めて医師の診断を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする常態が継続してと、医師のよって診断されたとき。

2、保険開始以後に、脳卒中を発病し、初めて医師の診断を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと、医師によって診断されたとき

心筋梗塞の場合は60日以上の医師による労働制限(1)、脳卒中は明らかな後遺症が60日以上継続しない(2)と給付の対象にならない・・・これが「60日ルール」です。
つまり、心筋梗塞や脳卒中に罹患しただけで給付金が出るわけではないのです。

従いまして、上記の社長は約30日程度の労働制限となり、三大疾病の給付の対象外となります。

10数年ほど前に第一生命が「堂々人生」という商品を出し、田中麗奈をCMで起用して一世を風靡したことを覚えている方がいらっしゃると思います。
その時の殺し文句が「三大成人病になったら保険料はいただきません!」でした。

これを聞いた一般の方は「がん、心筋梗塞、脳卒中と診断されたら保険料は免除されるのね」と間違いなく思います。
当時かなりインパクトがあり、この「保険料免除」は他社に追随されました。

実はこれも同じように「60日ルール」がもれなくついてきます。
当然保険募集人(保険を売る人)はきちんと説明する(はず)ですし、パンフレットには
(小さく)明記されています。

「60日ルール」を理解して納得した上で加入するのはいいかもしれませんが、正直コストパフォーマンスはいいとは言えません。
保障にコストパフォーマンスなんて馴染まない感じなので、言い換えれば確率とコストの関係、または優先順位を考えた結果の判断です。

いろいろな考え方があると思いますが、通常の入院保険に加入していれば、三大疾病で入院や手術をした場合は給付があるわけですが、三大疾病保険は対象外の疾病であったり、対象の疾病であっても60日ルールに阻まれたりすれば給付はありません。
死亡理由の約5割であれば、概ね病気になった場合約半分が三大疾病だと思われますが、60日ルールのために大幅に確率が下がり、保険料負担も軽いとは言いがたいのであまりお勧めできません。
また、数値化できませんが、出そうで出ない「がっかり指数」が高いことも見逃せません。

 

「60日ルール」の例外となる商品が一部あります。
死亡保障なしで入院保険の特約として付加できるものですが、オリックス生命の「キュア」とAIGエジソン生命の「ケアード」があります。
通常の三大疾病保障は上皮内がんは対象外ですが、この2つは上皮内がんも対象となります。
紹介記事 http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/7487.htm

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