【NET技術.018】その他のプロトコル
佐藤@IT雑貨屋です。
ここまでネットワークに関するプロトコルについて説明してきましたが、それ以外にも様々なプロトコルがありますので、代表的なものについて説明をしていきます。
◆DHCP
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、配布するIPアドレスを一元管理し、クライアントのIPアドレス等の設定を自動化するためのプロトコルです。世の中にあるルータ類を利用する場合、このプロトコルは多く利用されています。
DHCPでは、クライアントがネットワークに接続した時に、DHCPサーバが自動的にIPアドレスなどの設定情報を送信して、それをクライアントが設定します。その為に以下の様な2段階、4パケットで通信を行います。
①DHCP発見パケット(DHCPDISCOVER)
IPアドレスなどの設定情報を要求します。最初はDHCPサーバがどこにあるか分から
ないので、ブロードキャストでネットワーク全体に向けてクライアントが送信します。
②DHCP提供パケット(DHCPOFFER)
DHCPサーバが提供できるIPアドレスなどの情報を設定し送信します。この通信は
ユニキャストで行います。
➂DHCP要求パケット(DHCPREQUEST)
DHCP提供パケットで受け取った情報を使用する事を要求します。ブロードキャスト
で送信するのは、二つ以上のDHCPサーバから提供を受けた時、他のDHCPサーバには
要求しないことを同時に通知するためです。
④DHCP確認応答パケット(DHCPACK)
DHCPサーバからDHCP要求パケットに対する許可を通知します。この通信はユニ
キャストで行われます。
DHCPで配布するIPアドレスは、特定のIPアドレスの中からDHCPサーバが自動的に選ぶ方法が一般的です。ただし、IPアドレスを固定的に割り振りたい時には、MACアドレスごとにIPアドレスを指定する事も可能です。
◆DHCPサーバで提供される情報
DHCPサーバから、IPアドレスだけではなく、以下の情報も同時に提供されます。
・サブネットマスク
・デフォルトゲートウェイ
・DNSサーバ
・ホスト名
・プリンとサーバ
これらの情報を設定するには、クライアントとサーバの両方でDHCPに対応している必要があります。
またDHCPから提供される情報には、リース期間が設定されます。リース期間は割り当てられたIPアドレス等の情報の有効期間です。DHCPクライアントがリース期間を延長したい場合には、DHCPサーバに対して再度DHCP要求パケットを送信して、リース期間の延長を要求する必要があります。
◆FTP
FTP(File Transfer Protocol)は、異なるコンピュータ間でファイル転送を実行するプロトコルです。FTPでは制御用とデータ転送用の二つのTCPコネクションを利用します。簡易的なファイル転送の場合には、TCPコネクションの代わりにUDPを用いるTFTP(Trivial File Transfer Protocol)を利用する事も出来ます。
このFTPは以下の流れで行われます。
最初のTCPコネクション確立要求はクライアントから行われます。接続要求の後、USERコマンドでユーザー認証を行います。認証OKとなると、PORTコマンドでデータ転送に使用するIPアドレスとポート番号をクライアントからサーバに通知します。
・アクティブモードとパッシブモード
サーバからファイル転送を行うのをアクティブモードと言い、通常はこのアクティブモードでファイル転送は行われますが、ファイアウォールなどでサーバからクライアントに通信を許可していないケースが多くあります。その場合、アクティブモードでは正常にファイル転送が出来ませんので、パッシブモードで、PASV子マンとを利用し、クライアントからサーバにデータ転送用のコネクションを確立します。
◆SNMP
SNMP(Simple Network Management Protocol)は、TCP/IPネットワーク上で、ネットワーク管理を行う為のプロトコルです。このSNMPはUDP上で動作します。
SNMPでは、ネットワークを管理する側をマネージャ(管理用PCなど)、管理される側をエージェント(ルータ、スイッチ、サーバなど)と言います。SNMPのメッセージには以下の様な3種類の通信をサポートします。
①動作チェック
マネージャからのget-request(参照要求)に対してエージェントが応答
(get-response)します。get-next-request(次の参照要求)で次々と情報を要求
し、取得していきます。
②設定変更
マネージャからの設定要求に対して、エージェントが設定変更します。エージェント
は正常終了かどうかを応答します。
➂イベント通知
エージェントから、あらかじめ閾値を設定しておいた異常な状態になった時にイベ
ント通知を行います。なお、他のSNMP通信はポート番号161で行いますが、trap
だけはポート番号162で通信を行います。
◆MIB
SNMPでやりとりされる情報がMIB(Management Information Base)です。MIBは階層構造のデータベースで、データ構造の表記法であるANS.1(Abstruct Syntax Notation 1)を利用した管理構造であるSMI(Structure of Management Information)を用いて記述されます。
例えば受信した全てのオクテット数ifInOctets、IPアドレスに関するテーブルipAddrTableなど、エージェントで取得したり設定したりする情報がMIBとして定義されています。MIBには標準MIBと、各メーカ独自の拡張MIBがあります。