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屋形船も換気でコロナ対策!換気とHEPA空気清浄機への期待

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屋形船はクルーズ船に次いで、新型コロナウィルスのクラスター感染が初期に起きた場とされています。当時の報道では、

新型肺炎 屋形船から急拡大 雨で窓開けず  毎日新聞2020年2月17日 東京朝刊
「屋形船は、閉鎖空間だった」。都は16日も記者会見を開き、屋形船から感染者が続出した経緯を説明した。

とされています。 5月17日付の朝日新聞(朝刊)は「屋形船 独り歩きした感染経路」というタイトルで、この際、感染経路を巡る東京都の発表に勇み足があったと報じたのですが、その記事は「中国人観光客 → タクシー運転手 → 屋形船での感染」で順番が違うのではないかという内容でした。結局の所、屋形船内で新型コロナの感染が起きたことは否定できていません。

換気をよくすれば新型コロナ対策は可能

クラスター感染が起きたとされる当日、屋形船では、雨のため窓を閉め、2時間密閉状態だったと報道されています。これがマイクロ飛沫(2〜5マイクロメートルとかの非常に小さな飛沫)が30分以上空間に漂い、クラスター感染が起きたと考えられるわけです。

@AirborneKanki さんは、以下のように代表的な空間の1時間あたりの換気回数をまとめられており、クルーズ船の換気の悪さは新型コロナ感染に大きく影響したがことがうかがえます。

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クルーズ船は、手すりの接触感染やパーティーが問題視されていました。しかし、換気が非常に悪く、非常に長時間滞在するという大きな問題があることがわかります。巨大なビルのような構造物であるクルーズ船の換気構造を改善するのは大変そうです。

一方、屋形船は、窓の外はすぐ川面であり、換気するのは簡単です。天井が低く室内が狭いのはハンデですが、強い雨でも窓を開けて換気できるように改造するのは容易です。また、熱交換型換気扇を使えば、冷暖房効果を生かしたままの換気するように改造も簡単でしょう。とにかく 窓や壁からすぐにフレッシュな空気が通る川や海なのですから。

まずは、換気がいい飲食店を選ぼう

新型コロナの緊急事態宣言明けの今、まずは換気がいい飲食店から利用するのが安心でしょう。

一般的なラーメン店とか街の中華料理店とかはもともと大型換気扇が回っています。そこで会話せずに一人で食べるとかだとリスクはすくないでしょう。丸亀製麺もそういった換気がいい飲食店の一つとなっています。

また、上のツイートに挙げられた焼肉店も換気がいい飲食店の代表です。対面で食べて会話するのは家族とか日ごろ接触している人に限ったら家で食べるのとリクスはほとんど変わらないと考えられそうです。

換気第一で考えると、テラス席とか、外の立呑とか、換気が良さそうな場はいろいろあります。ただし、屋外ではあっても大声で会話して飲むのは飛沫リスクがあります。気をつけたいところです。

HEPA空気清浄機はおそらく新型コロナ対策で使える

では、ビル内とかで換気をよくしにくい飲食店はどういう対策が可能でしょうか?エアロゾル学会のサイトにその答えが書かれていました。

「閉空間に漂うエアロゾル粒子を追い出すには空気の流れと換気・空気清浄機が必要です!」

 ガス分子は混ざりやすい(拡散しやすい)ですが、エアロゾル粒子の中でも大きさが1,000分の1mm(1μm)程度の微小なエアロゾル粒子は、室内空間中ではガス分子に比べればほとんど拡散しません。さらに、目に見える粒子とは異なり,その沈降速度も非常に小さく、室内では浮いたまま漂っています。微小なエアロゾル粒子を室内から追い出すには、空気の流れ(気流)により移動させ、室外への排出(換気)または空気清浄機などにより除去することが必要です。

空気清浄機は20畳用とか処理能力が広さで書かれています。その広さの空間を30分で浄化して粒子を取り除ける性能を表しています。どの程度、浄化できたら安心なのかは医学的な研究が必要ですが、少なくともインフルエンザウィルス対策で効果が大きいことの研究発表はされています。2011年に、日経メディカルが国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンターの西村秀一氏らの研究論文を記事としてまとめていました。

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書き方が、ウィルス対策をうたう目新しい機能よりHEPA空気清浄機が効くという逆説的な表現になっています。つまり、言い換えるとHEPA空気清浄機はインフルエンザ対策で効果があると検証済みなわけです。

新型コロナへの医学界の見解を聞きたいところですが、エアロゾル学会やインフルエンザ対策の研究からして、少なくとも次亜塩素酸水の噴霧よりは確かな対策だと言えそうです。

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