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チェックリストで考える長崎新幹線フル規格への進捗度合い

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長崎新幹線、与党からフル規格複線という方針が出てもう整備が決まったかのような反応が一部にあります。しかし、実は2020年度予算で環境アセスメントを行い北陸新幹線と同じペースで進めるたいというJR九州や長崎県の思惑からは外れる結果となりました。というのも環境アセスメントを2020年予算に盛り込むことが事実上不可能となったからです。

長崎県が焦ったのは、環境アセスメントを2020年予算に盛り込み、北陸新幹線に遅れたくなかったから

長崎新幹線の新鳥栖~武雄温泉を整備したいのであれば、環境アセスメントがまず必要です。これには4年程度の時間がかかります。また、北陸新幹線は環境アセスメントの予算化を進めており、北陸新幹線に遅れると工事予算の確保が難しくなることを懸念してきました。

  • 長崎県の主張:着工に同意するしないの決定は後でいいから佐賀県は環境アセスメントには合意して欲しい
  • 佐賀現の主張:そもそも、在来線利用で合意済みであり、フルとかミニとかの新幹線整備自体が必要かどうか佐賀県内のコンセンサスが無い。だから環境アセスメントへの合意も無理

そういう状況で、今回の与党の整備方針では、以下のように決まったのは整備方針だけで、何より環境アセスメントに必要なルート選定が漏れることになりました。

西日本新聞
焦点となっている佐賀県の負担軽減策や、その具体的な財源、並行する在来線の経営をどうするかといった課題には言及しなかった。具体的な経路について「JR佐賀駅経由が適当」と明記する方向で調整したが、佐賀県内に異論があることに配慮し、結論から外した。

この、決まったのが、フルで複線という方針だけという現状をチェックリストでご説明します。

shinkansen-check-list.PNG

新鳥栖~武雄温泉の新幹線整備には、まずは環境アセスメントが必要です。これが遅れると、北陸新幹線より優先度が落ちて後回しになる懸念があります。その環境アセスメントに必要な2つの条件のうち一つ「具体的なルート案」が佐賀県内の異論を配慮して打ち出されなかったのが今回の大きなポイントです。急転直下、事態が変わり佐賀県からルート案がでるとかしない限り、2020年度予算に環境アセスメント予算は盛り込まれず、整備は少なくとも1年は遅れるといえます。

また、新幹線建設の費用負担や、並行在来線の維持方針、の2つも与党としての方針が決まりませんでした。元々この2つは今回のタイミングでは決まらない予定だったのではありますが、着工までには決めるべきことではあります。

以上、長崎新幹線の新鳥栖~武雄温泉整備に向けてはフル規格複線という方針が出たとは言っても、具体的ルートという大事なことが抜けているため「計画が遅れた」という状況が理解いただけたかと思います。いずれにしろ、整備新幹線は地元の都道府県および市区町村の合意が無いと計画が進みません。全体最適のために佐賀県は折れろとかの意見は多く見ますが、全線佐賀県内を通る 新鳥栖~武雄温泉の交通整備方針は佐賀県が決めるという単純な話です。

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