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中日新聞、大飯再稼働なくても余力 ?で学ぶ。詭弁を暴く3つのポイント

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 関電、大飯再稼働なくても電力供給に余力 via kwouthttp://www.chunichi.co.jp/s/article/2012071890094758.html
という7/18の中日新聞:記事。と図1

実は見出しやグラフの印象とは全く逆の事実が隠されています。著名経営者も騙された?もしくはわざと拡散した https://twitter.com/masason/status/225598698216890372
その印象とは違う事実を表で解説しましょう。

詭弁のポイント1:グラフと見出しや本文がずれている
グラフは印象を決める重要なポイントです。ただ、それは「伸びてる」とか「厳しい」とかそういう情勢を直感的に感じるものであって、論理的に何についての状況かを決めるのは、見出しや本文の文字です。
この二つが相まって、論理的かつ感情的に情報が伝わります。

事実を伝えるにはこの二つは一貫している必要がありますが、中日新聞のこの記事では

見出し:原発再稼働無くても余力
グラフ:原発再稼働前後の供給力と需要を比較

とずれた違うものを並べています。そして、グラフで大飯再稼働に余裕が生まれたという差分、562万kwを目立たせて余裕があるという印象を刷り込みつつ、見出しの「無くても余裕」という言葉で印象を操作しています。

詭弁のポイント2:都合が悪いデータはグラフから除外する
記事を冷静に読まれた方は、18日の記事なのにグラフに17日のデータが書かれていないことに気づかれたことでしょう。本文では触れられているのでさも問題ないように見えるかもしれませんが、ここがポイントです。

記事では

 政府の節電要請から16日までの2週間の関西電力管内の電力需給で、最大需要は2301万キロワットにとどまり、出力118万キロワットの大飯原発3号機(福井県おおい町)が再稼働しなくても、供給力を9%下回っていたことが分かった。猛暑となり17日の最大需要はこの夏一番の2540万キロワットに達したが、10%以上の供給余力があった。政府は夏場の電力不足を理由に強引に大飯原発の再稼働に踏み切ったが、節電効果など需要の見通しの甘さが浮き彫りになった。

とあり、
17日の最大需要2540万kwの青緑の線、
2540kwで10%の供給余力なので供給力2822kwという紫の線を伸ばし、最高気温も追加しました。
Chunichi2012kepco_4
図2(中日新聞社の図を元に筆者が加筆)
一見して分かるのは、17日の需要2540万kwは大飯フル稼働前の供給力を超えているということです。そして、16日以前に9%余裕があったという記事から、計算すると
2310÷0.91 = 2538.462
で原発再稼働無しの供給力は約2540万kwだったことが分かります。

詭弁のポイント3:都合が悪いデータは記事中で触れない、基準を変えてごまかす

そして、詭弁の極めつけは比較する数字をずらして問題を隠すことです。
16日以前は余力9%、17日も余力10%と書きながらその分母というか、意味するところがずれています。揃えて表にすると以下のように、なります。太字は記事に書かれた数字です。                             

  最大需要 原発稼働なし供給力 再稼働無し余力 再稼働有り余力
16日以前: 2310万kw 2540万kw 9% 18%
17日: 2540万kw 2540万kw 0% 10%

それぞれ余裕が同じようにあるように見えつつ、見出しで提示した話題の 「再稼働なしで余裕」という見解に対して隠された数字、余力ほぼ0% という見出しに反する記事が書かれていません。

もちろん、供給余力は逼迫度合いで融通しあいどうにかするように電力会社の方々は努力されているわけですが、17日の猛暑はかなりのひやひやものだったという事実に対して全く逆の記事を書く新聞社があるわけです。

「需要見通しが甘い」と記事で書きつつ、実は再稼働しなかったら危機的状況だったことを隠す中日新聞社の報道姿勢は大いに疑問であり、なぜ他紙が問題視しないのか?大いに疑問に感じます。私の試算は他のデータとダブルチェックしておらず何か間違いがある可能性はあるのですが、いずれにしろ、「不都合な真実」を隠した中日新聞社の姿勢が問われる、そんな記事でしょう。

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