【顧客コミュニティを成功させる7つの秘訣】 ~ 誠実な対話姿勢を組織内で徹底すること
さて,成功の7つの秘訣もいよいよ大詰め,運用段階に入ってくる。次のテーマは「誠実な対話姿勢」だ。
企業がコミュニティ導入で最も心配することは,今まで経験したことのないトラブル,いわゆる炎上が起こるのではないかという懸念だ。
数多くの企業コミュニティ運用にかかわってきた立場からの率直な感想は次の3点だ。
1.炎上は偶然の産物ではなく,なるべくしてなったものである。
2.そもそも企業がプライベートコミュニティをたちあけなくても,ネット上には2chなどユーザー交流の場はいくらでもある。
3.炎上やトラブルの確率は非常に低い。それより恐ろしいのは集客失敗ないしコミュニティ不活性である。
一般的にコミュニティやブログの炎上は次のような原因で起こる。
1.反社会的な記事 ~ 未成年者の飲酒や喫煙に関しての日記、犯罪行為の擁護・社会的弱者の悪口など
2.誤った知識の知ったかぶり ~ 法律や科学知識、社会問題等関する誤った知識を根拠にした他者批判など
3.主義の対立 ~ 感情的な反論、対立論者による指摘、不都合なコメントの削除など
4.提灯記事 ~ 広告であることを明示せず,金品を受け取り指定商品のブログ記事を書く事など
5.身分を隠して自組織を擁護 ~ 企業内部の関係者であるにもかかわらず身分を隠して第三者を装った場合など
これらに共通して言えることはシンプルだ。
今までの,情報の非対称性(消費者より企業が多くの情報を持っていた前インターネット時代の情報格差)によって守られていた企業サイドが,その習慣のままネットユーザーと接することによって起こるものなのだ。さらに言うと,直接ユーザーと接することの少ない情報システム部門やマーケティング部門,ないし経営層が主導して炎上するケースがほとんどだ。逆に,日ごろから顧客と接している営業部門や店舗の方々にとっては極めて当たり前の「お客様と誠意を持って接する」という原則を守ればよいのだ。
ポイントを列挙するしてみよう。
1.会員を招待性、承認制、条件付等にして限定し、匿名不特定多数が発言できないようにする
2.広告明示なしにブロガー等に報酬を払って恣意的な記事を書かせない。また判断基準が未熟な子供たちを利用しない
3.独自ルールや文化を持っている他社コミュニティを安易に利用しない
4.自社コミュニティのルールを明確にし、告知する
5.自らの身元を明かし、透明性を保つ
6.ウソをつかない
7.コミュニケーションを拒否したり、無視したりしない
8.謙虚な姿勢を崩さない
9.ユーザーをリスペクトし、感謝の気持ちを持つ
10.問題が起きた時は放置せず、迅速に対応する
これらの「誠実な対話姿勢」を,ユーザーと接する可能性のあるすべての関係者に教育し徹底することが肝要だ。
しかしよく考えると,これらの基準は難しいことではない。ユーザーは企業に対しても一人の人間として誠実な行動を期待している。またこれらの行動姿勢を逸脱した場合に非難されるのは企業だけではない。むしろマナーの悪いユーザーが他のユーザーによって退去させられることの方が多い。お客様と同じ視線で,店頭のように,心を配り,誠実に接するということだ。
さらに具体的な内容については,米国を中心としたクチコミ業界団体であるWOMMA(Word of Month Marketing Association)が出しているガイドラインが大変に参考になるので,ポイントのみ引用しておきたい。
■Word of Mouth Marketing Ethics Code of Conduct (The "WOMMA Code")
◆Fundamental Principles(基本原則)
We respect and promote practices that abide by an understanding that the consumer ? not the marketer ? is fundamentally in charge, in control,
and dictates the terms of the consumer-marketer relationship. We go above and beyond to ensure that consumers are protected at all times.
1. Happy, interested people will say good things about you.
It’s doesn’t take much more than that. Understand this concept, devote yourself to it, and you will be a successful word of mouth marketer.
2. Honest, genuine opinion is our medium.
We don't tell people what to say or how to say it. We fundamentally believe that people should be free to form their own opinions and share them
in their own words. While supporting the natural conversation, we take great care to ensure that we do not distort it.
3. We start, support, and simplify the sharing.
Word of mouth marketers use creative techniques to encourage communications. We make it easier for people to talk to each other, we create
interesting things to talk about, we create communities to share ideas, and we work to find the right people who should know about what we do.
Traditional advertising pushes ideas on consumers. We help naturally occurring good ideas move around.
4. Word of mouth cannot be faked.
Deception, infiltration, dishonesty, shilling, and other attempts to manipulate consumers or the conversation are bad. Honest marketers do not do
this, will not do this, and will get caught if they try. Sleazy behavior will be exposed by the public and backfire horribly on anyone who
attempts it.
5. Word of mouth marketing empowers the consumer.
Consumers have control, and they dictate the terms of a new, healthier relationship between marketers and the people who use their products.
Consumers demand satisfaction, respect, and great products and services. When companies deliver, people will tell their friends. Word of mouth
marketers work to accelerate this process, replacing aggressive advertising with customer-centric service, support, and open communications.
◆Code of Conduct(行動規範)
WOMMA recognizes that the WOMM space is ever-evolving and changing and as such has created its Living Ethics Program whereby the Ethics Code is
regularly and periodically reviews and updates the Ethics Code as appropriate.
Summary
1. Consumer protection and respect are paramount
2. The Honesty ROI: Honesty of Relationship, Opinion, and Identity
3. We respect the rules of the venue
4. We manage relationships with minors responsibly
5. We promote honest downstream communications
6. We protect privacy and permissionvement in a campaign when asked by consumers or the media. We will provide contact information upon request.
(以下,略)
詳しくは,Word of Mouth Marketing Ethics Code of Conduct (The "WOMMA Code")
さて,今回のテーマ,顧客コミュニティ構築7つの秘訣その6「誠実な対話姿勢」についてまとめてみよう。
1.炎上は偶然ではない。次のような原因で起こる。
1.反社会的な記事
2.誤った知識の知ったかぶり
3.主義の対立
4.提灯記事
5.身分を隠して自組織を擁護
2.コミュニティ運用に重要なことは「誠実な対話姿勢」を関係組織に徹底することだ。
ユーザーは企業に対しても一人の人間として誠実な行動を期待している。
お客様と同じ視線で,店頭のように,心を配り,誠実に接することが肝要だ。
なお,当社では,ワールドカフェ社と提携し,多様な海外事例に基づき,顧客インサイトを実現するためのコンテンツ企画をコンサルティングしております。ご興味ある方はご連絡いただけると幸いです。