Sun買収 - 保守のうま味がないMySQLは放置されるか?
OracleによるSunの買収で、結局、MySQLはOracleの手に渡ることになりました。
3年前の2006年2月、私はOSBC(Open Source Business Conference)に参加していたのですが、その場で、OralceがMySQLに買収を仕掛け、Martin Mickos氏が断っていたという話を知りました。その後、MySQLはIPOではなくSunに買収される道を選びましたが、最終的には敵対していたOracleに渡ってしまったわけです。
ところで、Oracleはいまや世界で最も大きなソフトウェア保守企業になりました。売上に占める保守収入は新規ライセンスをはるかに上回り、SAPを凌いでいます。保守というのは保険ビジネスに近く、かつ、収入を返す必要もなく、もっとも利益率の高い事業かもしれません。これまでも同社は保守売り上げが大きい企業を買収してきていますが、この手法はコストをかけずに売り上げを伸ばす最も効率的な成長戦略と思われます。
そして、今回のSunの買収でOracleの年間保守売り上げは1兆円を超えると思われます。そこにはハードウェア保守も含まれていますが、利益率が高ければハードウェア保守も当然、継続・発展するでしょう。
そして、問題のMySQLです。MySQLの売り上げ(多くは保守収入)は100億円に満たないと言われており、Oracleの保守事業に占める割合は1%以下になります。Oracle全社にとっては成長路線に入れられない「興味がない」分野になるでしょう。
一方で、MySQLの存在によってOracleのデータベース事業の潜在的な保守売り上げが失われているとすれば息の根を止めるかもしれません。しかし、データベースの種類にかかわらず、新規ライセンスが伸びないという背景があるのであれば、わざわざ面倒なことを引き起こさなくても良いと思われます。
いずれにしても、オープンソース界隈にはステークホルダーが非常に多いので、MySQL事業は「放置」して静観して欲しいと思う次第です。