企業内サーチで始まるオラクルvsグーグル
以前はマイクロソフトを目の敵にしていたオラクルのラリー・エリソン氏。最近はその毒舌も控えめになって「大人になった」というのが、最近のオラクルを取材している関係者の評判のようです。
そのオラクルが新たに戦いを挑もうとしているのがグーグル。オラクルは、企業向けデータベースで市場を押さえていることを背景に、企業内データ向けの検索エンジン「Oracle Secure Enterprise Search 10g」(Oracle SES)を先週、出荷しました。
オラクルは「グーグルは敵ではない」と友好的な姿勢を見せていますが、当のグーグルはこれをしっかりと競合と意識して新製品を投入することを、ほぼ同時に発表しました。
企業内では、Webと違ってデータがHTTPに対してむき出しの状態で存在することはまれで、ほとんどの情報はデータベースやグループウェアといったアプリケーションの内部にしまってあります。しかも、例えば新入社員やアルバイトには自社の重要なデータにはアクセスできないようにする、といったアクセスレベルのコントロールが実装されていることが多いはず。
となれば、既存のネット用クローリングのテクノロジとは異なる切り口が必要なことは明らかです。データの重み付けの仕方にも、役職や立場といった企業向け独自の新たな工夫も必要でしょう。グーグルがこれまで企業内サーチでWebのような成功を収められないのはこの辺に原因があるのでしょう。もっとも、企業内サーチで成功しているといえる企業はほかにもありませんけれど。
オラクルが企業内サーチで目指す短期的な目標は、やはり自社製品の囲い込みにあると思います。データのクローリングやアクセスコントロールの点で、前述したように企業内サーチエンジンはデータベースやグループウェア、メッセージングサーバ、ERP、CRM、BIといったアプリケーションとの連携が不可欠です。その点で、データベース製品の高いシェアを持ち、アプリケーションサーバや業務アプリケーションまでも擁しているオラクルが、それらと連携させた検索エンジンを投入するのは、戦略としては分かりやすいように思います(とはいえ、機能的にはまだ対応アプリケーションがイマイチ、のようです)。
では、長期的には企業内サーチはどうなるのでしょうか? やはりグーグルのようなサーチテクノロジに特化した企業が有利な状況は訪れるのでしょうか。
直感的には、企業内サーチというのは、インターネットのサーチと似たような軌跡をたどるような気がしています。が、その辺は考え始めたばかりでまだ考えがまとまらないので、次回のエントリを書くまでにまとめてみようと思います。