【ちょっとホッとした】本の虫、父の読書術。
本日7月7日は父の誕生日であります。
1940年生まれなので75歳になります。
ここ数年は前立腺を患って、絶好調ではありませんが、のんびりとやっているようです。(その分、世話をする母が大変そうですが。)
父の部屋は昔から本で埋め尽くされている。
子どもからすれば一種のワンダーランドではありますが、大学で哲学を専攻して高校の倫理の先生になった人なので、難しい思想書が多く、手が出せないでいました。
数年前にニーチェが流行った時に、「何か入門書あったら送ってよ」とお願いして届いた本も、単純脳のわたくしには難しくて結局2ページで諦めたほどです。
そんな本に埋め尽くされた部屋ですが、今後もし寝たきりのようなことになったら介護用のベッドを入れなければならないということで、母が半強制的に「本の整理をしよう!」とぶち上げて、先日整理の手伝いに行ってきました。
父の父から受け継がれている超古い本から、最近買った本まで、処分するものしないもの、どんどん仕分けていきます。(多くの手元に置いておきたい本は、まだ仕分け場にも出てきませんが)
その際に、わたくしが読んでみたいものはもらっていくわけですが、中身をパラパラとめくっているうちに、あることに気が付きました。
父の読書スタイルは、基本的に気になる部分に線を引いたり書き込みをするのですが、かなりの割合でその書き込みが最初から1/4とか1/3とか、極端なものでは1/5より手前のところで終わっており、しおりが挟んであります。
つまり、そこから先は読んでいない。
つまんなかったのか、文体が合わなかったか、理由はいろいろなのでしょうが、決して全部の本を読んでいないことがわかったのです。
なんだかちょっとホッとしました。
これまでの父のイメージは、とにかくまじめで厳格でプライドが高い、変人(変人の部分については詳しく書きませんが、カミサンによるとわたくしはきちんとそれを引き継いでいるそうです)というものだったので、案外ライトに読書ライフを楽しんでいたのだなということがわかりましたから。
そこへいきますと、わたくしは根が貧乏症なのか、本は最後まで読まないといけないという意識がどこかにありまして、中途半端に読むくらいなら読まない!ということで積読本がどんどん増えている始末。
でも、本なんて一冊の中に一行でも自分に役立つことが書いてあればめっけもんじゃないですか。自己投資としては最高に費用対効果のよいものです。
肩肘張らずに、気楽に付き合えばいいものなんだなと、いまさらながら父に学んだような気がしました。
わかっちゃぁいるんですけどね、なかなかできないんですよね。
ちなみになぜ父が読んでない本も大事に全部取っておいたのか?という謎も今回聞くことができました。どうやら仲間と私設の小さな図書館のようなものを作りたかったらしいのですが、場所を提供してくれるはずだったその方が急死してしまったのだと。そいでもって計画は頓挫です。まぁ人生っていろいろあるものですね。(一番実感しているのは父だと思いますが)
おとっつぁん、誕生日おめでとうございます。
適度な運動は欠かさずに、長生きしてくださいよー。