iPad の生み出すライフスタイル
Appleが噂のSlateとして iPad を発表した。発表されてみれば、おおかたの予想どおり、iPod Touchを大きくしたような形状。液晶サイズは9.7インチ、とまた微妙なサイズ。iPhone , iPod Touch のサイズが 320x480 ピクセル, 3.5インチだったのに対し、768x1024ピクセル, 9.7インチであり、ピクセル比が横幅が2.4倍、縦が2.13倍に対し、画面サイズはドット比だと5.12倍、面積比約7.5倍となっている。(すなわちドットサイズは大きくなっている。)
その結果、多くの識者が指摘するように、iPad は iPhone, iPod Touchのように、持ち運んで使うには、中途半端なサイズ、重さになっている。バッテリも10時間、と、海外出張時などの長時間の読書には少し不安な時間だ。
もちろん、重量は680gで、いまどきのNetBook(800g~1.3kg)よりは軽いし、画面サイズもほぼ同等(NetBookは 1024x600 ~1200x800が多い)だ。ちなみにVaio Type-P だと 最軽量モデルで588g, 1600x768となる。
しかし、これまで失敗してきた多くのTablet型の端末(MagicCap, Newton)やNetBookと比較して、iPadが生み出すのは明らかに違う「新しい経験」であろう。
iPhoneがこれまでの携帯電話の世界にインタフェースの革新をもたらしたように、iPadは同等のインパクトをもって他のエリアを侵食することになる。
iPadでは、iPhoneで洗練されてきたUIを用いて、より便利なブラウズ環境を実現している。これまで家庭におかれていたPCに加えて、リビングやキッチンのテーブルサイドに置かれるような端末になるのではないだろうか。つまり、iPhoneが生み出した「いつでも手軽にブラウズ」環境を、リビングやキッチンに持ち込むことになるのだ。
個人的には、すでにiPhoneで本や新聞を読むことを日常的に行っているので、iPhoneの小さな画面での苦痛が緩和されることや、パフォーマンスが向上されていることは歓迎したい。
もう一つ、家庭で利用する際の特徴としては、写真やビデオの利用があろう。
ホームパソコンの定番ソフトが写真編集であるように、写真を家庭で手軽にみたい、という要望は強く、近年、デジタルフォトフレームの市場が広がっている。iPadは、この市場を根本的に変えてしまうのではないだろうか。これまで、単なるビューアだったフォトフレームが、高度なユーザインタフェースを持つことで、真に「紙のアルバム」よりも便利なアルバムが実現できる。
また、家族で1つのテレビを一緒に見る、という時代も終わりつつある。個人で好きなビデオを見るスタイルでは、PCよりも iPadのような端末で見る形のほうが向いている。ニコニコ動画のように、コメント可能なアプリも登場するのではないだろうか。
以上、iPad発表を見てのファーストインプレッションである。実際に触ったわけではないが、いくつかの情報を見た限りでの印象としてここにエントリした。
みなさんのご意見もお聞かせ願いたい。
(画面サイズに関する記述を修正しました。)