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内側からの根源的な行動欲求とリアルタイムサービス

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 少々哲学的な響きのするタイトルかもしれません。

「内側からの根源的な行動欲求」とは、本能ではないけれど、それに準ずる、「思わずしたくなっちゃう」内発的衝動です。私の場合、「写欲」、「角笛欲」、「買物欲」と申告します。

若干解説が必要ですね。

「写欲」:長い間一眼レフカメラ(特に銀塩、中判)で撮影していないと、右手の人差し指に震えが走るような禁断症状に襲われそうになる。

「角笛欲」:長い間ホルンを演奏していないと唇や横隔膜、胸筋がむずむずして落ち着かなくなり無性にホルンが吹きたくなる。楽器に触れないときは(多くの時間、場所が大音量のホルン演奏を許さない)、マウスピース無しでバズィングしたり、頭の中で演奏して息継ぎとアンブッシュア(口の形)を作って、ターゲットの曲を美しく演奏するイメージトレーニングをする。

「買物欲」:1週間以上、スーパーマーケットやヤフオクで買い物をしないと、何か役に立つお値打ち品をしっかり選んで素早く買いたくなる。→対象の品が欲しいというよりは、それより先に「買い物する」という行為にかりたてられそうになる。

 全然一般化できない、趣味・性向かと思いますが、、これらが本能に準ずる、といって良いのです。くらべてみると、他の好きなことは、ここまで衝動に駆られるというほどコントロールできないことはない。

・自転車乗りや自動車の運転 →好きですが、いくら続けても飽きないほどじゃないし、禁断症状も出ない

・お酒 → 素敵な人たちと楽しくわいわいやるのは大好きですがアル中じゃありません。

・読書、勉強全般、仕事? →何か目的意識をもって取り組むことは、いくら好きでも、「根源的な行動欲求」すなわち、その行動自体が自己目的化していて、一定量こなせたら「足りた!」という感じで満たされてしまう、、というのとは違います。逆に、だからこそ、勉強や仕事は10何時間続けようが平気なのかもしれません。知的好奇心が満たされたら満足、という感覚がぴんとこないのです。何かを創造し、成し遂げるところまでやらないと気が済まない。読書にしても、著者との知的格闘技であり、対案を思いついたり、全然別種のアイディアを生み出さねば満足できないことがほとんどです。

 そして、はい、いまやっていること:

・ブログの執筆 → 告白します。SNSやツイッターを含めて、Addiction習慣性に支配されたことはなく、さほど好きではないのだと思います。

 といって白けっぱなしではいけませんので、リアルタイムサービスとの関連について、思いつきを書いてみます。

 ごく最近になって、ツイッターに、風俗店の書き込みが激増しているのをご存じしょうか。彼らは伝統的に夕刊紙の広告に、その日の特別サービス、すなわち数時間以内に終了するキャンペーン、バーゲン企画を載せます。毎日個別に創意工夫されているのか、バルクで1か月分とかの広告枠を買い取っているのかなど知りません。

 ご賢察のように、このような、リアルタイム・バーゲン企画とツイッターの相性は抜群と考えられます。ただおそらく現時点ではツイッターのユーザ層(女性の方がアクティブユーザ率高い)と、夕刊紙の購読層があまり重なってないので、劇的な効果は【まだ】生んでいないことでしょう。しかし、無料ですし、いずれ近いうちに規制せざるを得ない(ツイッター社が広告料をとって風俗店のタイムサービスを掲載するとは思えない。。)ことでしょう。

 もう1つの、巨大産業に直結した「本能」といえば、「食」です。レストランの飲食のタイムサービス、食品のタイムセール、地域限定セールに、ツイッターは最高の告知媒体、といえるでしょう。携帯、スマートフォンをもって、ほっつき歩いている人が、空腹感にひかれてふらふら歩いてくるのですから。ややタイムスパンが長くなっても、過去の「美味しかった」体験を思い出して、思わず「パブロフの犬」となり、購買ボタンを押したり、食事の予約をしたりする、という計画的行動に結びつきます。

 内的欲求として、本能に準じるものの場合はどうでしょうか? 私の3欲、「写欲」、「角笛欲」、「買物欲」は、結構ヤバいです。

「写欲」:フジヤカメラさんの「吸引ビーム」に何度絡め取られそうになったことでしょう。2年間踏みとどまった自分を偉い、とさえ思っちゃいます。

「角笛欲」:ホルン吹きのつぶやきや、他の演奏家の書き込み、曲の感想、CD演奏や生演奏の感想文を読んで、がっし、と楽器を掴んで密室(自家用車の中とか)に閉じこもり、吹き始めちゃったことが何度もあります。

「買物欲」:対象物が必ずしも必須とか、欲しくてたまらないわけじゃないのです。ぐるなびさんのMLを読んで、「普段298円の冷凍牛丼パックが今だけ198円。しかも送料、代引き手数料が無料」などのヘッドラインに惹かれて、特別にそれが食べたいわけじゃないのに、「自分がお得な良い買い物をした(冷凍食品の場合まず無駄にならないし)」という大きな満足感が得られそうなので、若干財布のひもを緩め「買物欲解禁!」とやります。これでしばらくもつ。

 別に食品だけでなく、PC,中古サーバなんかも、買物欲outlet(大気中に放出)の対象となります。たとえばDual dual core CPUで4年落ちのわりには高性能のフル装備1Uサーバを昨日5,500円で購入。大変満足しました。もちろん研究用として仕事に役に立つものですし新種の実体験、知識、スキルを楽しく得られるきっかけにもなり、価格の10数倍は役だってくれるでしょう。でも、ここで問題にしているのは、実用価値以上に、この購買行為によって、「買物欲」が満たされ、2~3週間は鎮まってくれる、というポイントなのでございます。

 このようなポイント(秘孔)を突いてくるリアルタイムサービスには、私は大変脆弱ではないか、と懸念しています。逆に、それを活かした商用サービスを企画すれば、ヒットするかもしれない。でも、個人個人で、秘孔の位置があまりに違うので、なかなか企画コストが回収できないのが弱いところでしょうか。

 ともあれ、個人向けのリアルタイムサービスの向き不向き、ヒット要因、促進要因について、引き続き自己流で考えていってまいりたいと思います。

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