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「ダダ漏れ」株主総会元年ですね ~総会のリアルタイム中継

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  2010年は、「ダダ漏れ」株主総会元年と呼んで良さそうです。
本コーナーは「リアルタイム」ビジネスをテーマとするブログですので、この時期、株主総会についてとりあげてみます。私自身、あまり頻繁に株式の取引はしませんが、自社を含む大小4社の株主でもあります。22歳の頃から、自分が特に深い関心を抱く企業については最小単位を買ってみて利害を少しでも共有・実感し、その企業を勉強する、ということをやってまいりました。
 株主総会に初めて出席したのは比較的遅く35歳。それでも、現在50歳前後の世代で、就活という言葉すらなく(実際就職活動はまったくやらず)、大企業数社から選ばせていただいて就職した人々の中では、22歳で証券会社で株式購入、35歳で株主総会に出席(来場客の整理要員として会場にいるのは除く;)、という経験は比較的アクティブだった、といえそうに思います。

 「ダダ漏れ」株主総会といえば、お察しの通り、Ustream (&Twitter)でリアルタイム中継される株主総会。私が寡聞にして知らないだけかもしれませんが、昨年以前は、国内ではまだ検討段階で、実践はされていなかったかと思います。
 今年は、日産自動車、ソニー(一部)、サイボウズ、インフォテリア、そして、もちろん、Ustreamの大きなシェアをもつソフトバンクが実施しています。

 株主総会をリアルタイム中継もするメリットにはどんなものがあるでしょうか?
たとえば、次があげられます。
・会場のキャパを超えて多数の株主、非株主に見てもらえる。
・参加者(視聴者と書きかけて、質問も可能なので「参加者」に訂正)は
 移動時間とコストが節約でき、主催者側も、コスト低減。
・多数の意見、フィードバックが得られ、経営改善に役立つ。
・臨場感ある現場中継を保存して事後レビューしたり、初めて見る視聴者が全世界から無料で総会を追体験できる。
・情報開示に積極的で、嘘の無い優良企業だと、会社の評判を高めることができる。
・相乗効果として、経営可視化の自己努力がさらに進化し、市場との対話が進んで、さらに経営改善につながる。
・・・・・

 昔の総会、、いや、今でもいわゆる「シャンシャン総会」という、2,30分でシナリオ通りに無理やり終えてしまう、面白くもなんともない株主総会は、「経営の中身を見せたくない」「意見を言われたくない」という、上記と正反対の動機で行われていたのだと思います。そのような会社の経営陣の本音は、株主は黙って委任状出して議案に賛成してさえくれればよくて、総会に来たり本音の質疑なんてもってのほか、という感じでしょうか。
 「ダダ漏れ」株主総会では、上記のような「古き良き」日本企業とは正反対の方向性、メンタリティをもった新しい経営陣の意向が反映していることでしょう。

 6月19日の土曜日午前、東京・神保町で開催された、インフォテリア社の株主総会に、1参加者として参加してきました。

■株主総会のライブ中継(Ustream 配信)のお知らせ■
http://www.infoteria.com/jp/ir/soukai/
こちらに記載のように、総会以上に面白い、事業戦略説明会と合わせ、ライブ中継(Ustream 配信)されている現場に居合わせました。

 そのためによる注意事項や主催者側の配慮として、次がありました:
・質問者は名を名乗らずに出席番号票の番号を名乗る
・質問者の発言音声はミュート(Ustreamでoff)する

1点目は、不特定多数が視聴可能となったことによる個人情報保護のため。
2点目は、これはいわゆる総会屋ではないにしても、意図する、せざるによらず暴言、風説、その他の有害発言の可能性がゼロではないため、広い意味で株主保護のため、リアルタイム発言(書き込みと同様ですね)をいったんバッファにためる、という意味合いでしょう。

 それで不都合ないのか?ということですが、長時間質問の場合の空白がやや遠隔参加者が退屈しかねないくらい、といってよさそうでした。なぜなら、司会の平野社長が、質問内容のポイントを要約して話す、という例年通りのやり方で、回答を話し始めたからです。この要約が実にわかりやすく見事でした。もしかしたら、ごく一部の質問者さんは、「あ、自分が言いたかったこと、訊きたかったことはこんなことだったのか!」と、頭の中から霧が晴れ渡る思いをされたかもしれません。本当に様々なスタイルの質問を咀嚼し、ポイントを明確化する、という作業を、一切間をおかずにリアルタイムで行いつつ、よどみなく、時にクリエイティブな回答をその場で生み出してくれました。

 総合評価するには、遠隔参加された人の意見も聞く必要はあるでしょう(遠隔参加者からのリアルタイム質問は1件、ごく短いものがあっただけでした)。しかし、現場にいた1株主としては、透明性、公明正大を追及する企業にとって、株主総会のライブ中継(Ustream 配信)の有効性が実証されたようだ、と思いました。

 超低コストリアルタイム中継=「誰でもTV局」の可能性のごく一部が示されたのだと思います。その他、広大な可能性については、ぜひ、お隣、山崎秀夫さんの新著「Ustreamと超テレビの時代」を読んで、一緒に考えてみられてはいかがでしょうか?
 
 それもなんと、明日25日正午まで、電子書籍版を無料で入手することができます。具体的方法については、山崎さんご自身のブログか、私がCnetブログに書いた紹介をご参照ください。
http://japan.cnet.com/blog/nomura/2010/06/22/entry_27040715/

お忙しい方のために、最小限の引用をしておきますね:
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■ダウンロードページ
  http://www.impressjapan.jp/books/2885

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