エレベーターテストは動画でもやるべきかな
TVディレクターをしていたとき、主は番組制作だったのですが、なにせローカルですからたまにはCMもつくりました。
っていうか、クライアントを引っ張ってくるときにそっちもいっしょにつくりまっせ!と言わないと、田舎では番組作れないんです・・・。
専門でコマーシャル制作を習ったことはなかったので、広告批評読んだり、有名なCM集のビデオをなんども見たりしながら、どうやったらきれいなクリエーティブができるのか一生懸命考えたものです。
バブル時代、初めての海外旅行でびっくりしたのが広告でした。
貧乏旅行だったので(バブルなのに・・)、安いモーテルや店ばかり選んで入ったので余計そう感じたのかも知れませんが、とにかくディスカウントの大合唱。
電話帳みたいな雑誌の全部のページがディスカウントクーポンだったり、テレビをつけてもコマーシャルでは必ずと言ってもいいほど、比較のグラフと◯◯%Discount! BUY NOW!のオンパレード。
日本のオブラートに包まれた美しいクリエーティブの広告を見慣れていた自分には、新鮮というより下品さが目について、初めてアメリカに勝ったんじゃないかと実感できる瞬間でした。
ずーっと海外旅行はしていないので、今でもアメリカの広告がそんなのばっかりかどうかは知りませんが、バブルがはじけてからは、日本の広告もイメージ先行型ではなくなってきましたね。
クリエーティブが美しいと言われた日本の広告ですが、製品と乖離しすぎたのではないかと思います。
日本では電通と博報堂の戦略なのでしょうが、一時期クリエーティブ至上主義の時代があり、CMクリエーターやプロデューサーは、バブル時代の典型的な花形職種でした。
広告にとってクリエーティブが大切な事は言うまでもありませんが、製品価値と乖離した広告では意味がありません。
90年代には広告は売れたけど、製品はさっぱりみたいなパターンがいくつもありましたが、まさしくクリエーティブの訴求ポイントが製品ベネフィットと乖離したパターンでしょう。
その辺がうまいなあと思うのは、Google+やAppleのCMです。AppleにしてもGoogleにしても美しいクリエーティブですが、中心は製品です。俳優やキャラクターに頼ってはいません。
もちろん広告クリエーターやマーケッターが製品をよく研究して一番美味しい部分を出す努力をしなくてはいけないのですが、製品のほうでも一番美しいユーザーエクスペリエンスをわかるように備えていないと、こういうクリエーティブはできないのでしょう。
製品のコンセプトを練ったり、マーコムメッセージを作る際には、エレベーターテストといって15秒間でその製品の魅力を伝えられるかどうかを企画担当者はチェックするわけですが、機能やUIのチェックでは、その動きやスタイルがコマーシャルでの15秒の映像で見せられるかどうかということも、チェックポイントになると思います。
そうやって考えると、広告クリエーターが偉くなっちゃったというより、最近の日本はやっぱり伝えにくい製品の魅力のものを作ってしまっているのかなあと感じます。