ニフティクラウド探検隊 起動時スクリプトでサーバーを自動構築してみた。
こんにちは、ちなつです。
本日は、ニフティの五月女の記事をご紹介します。
(*本記事の最後に五月女のプロフィールを掲載しています)
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こんにちは。
ニフティでインフラを守るお仕事をしている五月女です。
前回の投稿から間が開いてしまいましたが、この間にニフティクラウドではいくつかのアップデートがありました。
OSイメージに待望のUbuntuが登場したり、機能が増えたりと多様なアップデートが実施されました。中でも、11月21日に追加された「ロードバランサーと増設ディスクの従量課金プランの提供」が、個人的にかなりうれしい機能追加だったりします。
より気軽にAPIを使ったLBやHDDの動作検証や、柔軟なリソース管理が出来る様になって有り難い限りです。m(_ _)m
そこで今回は、より手軽に利用出来る様になったリソースを「クラウドっぽく」(*1)利用する方法として、「起動スクリプト」を利用した「サーバーの自動構築」を紹介します。
※内容は、2012年01月現在時点の情報です。
※ニフティクラウドで提供されている「CentOS 5.6 64bit Plain」を対象とした記事です
「起動スクリプト」とは
「サーバー起動時のスクリプト実行機能」(以下「起動スクリプト」)は2011/10/26のニフティクラウドアップデートで追加された機能です。
コントロールパネルやAPIから、スクリプトを送り込み、OS起動時に実行することができる機能です。
Linux の rc スクリプトに近いものになりますが、大きな違いはコントロールパネル・APIといった、サーバーの外部からスクリプトを送り込める点です。
アプリケーションのインストールから設定までをスクリプトで組んでおき、サーバー作成と同時にスクリプトを送り込むことで、セッティングがすべて完了した状態のサーバーがあがってきます。
サーバーにログインして、コマンドを打ち込む必要はありませんので、サーバー作成後の負担を大幅に軽減することができる機能になります。
サーバータイプの追加、起動時スクリプト実行、グローバルNICの取り外し機能をリリースしました。
具体的な利用方法につきましても上記記事内で紹介されておりますのでご覧ください。
同一環境の複製しようとした際、「サーバーコピー機能」が真っ先に思いつくかと思いますが、機能の使い分けポイントとしては「新規サーバー作成時の定形処理を自動化する」ですとか、「常に最新版のパッケージを利用した構成を作りたい」、また、「複製の頻度が少ないので、イメージ保存代を節約したい」といった場合等で「起動スクリプト」の利用がマッチするかと思います。
やってみよう
新規サーバー作成時の定形処理を自動化する
実際に簡単な起動スクリプトを作って見ました。
これは、新規サーバー作成後に必ず実施する様な定形処理を自動化する起動スクリプトになります。
このスクリプトを「起動スクリプト」としてコピー&ペーストする事で以下の処理を自動的に実行します。
- hostnameをコントロールパネルの「サーバー名」に合わせて変更する
- rootユーザのパスワードを設定する
- rootユーザ以外の管理ユーザを作成する
- rootユーザをsshから直接ログイン出来なくする
- 便利なサードパーティリポジトリを追加する
- RPMforge,EPEL,Remi
- パッケージのインストール
- zsh(高性能コマンドシェル)
- screen(コマンドシェルマネージャ)
- ntp(時刻同期ツール)
- sysstat(システム情報取得ツール)
- net-snmp(監視情報取得ツール)
- zsh,screenの設定
- ntpdの設定
- snmpdの設定
- 最新Kernel・パッケージの適用
WordPressのセットアップを自動構築する
よく使われているWebアプリとして、オープンソースのブログ/CMS プラットフォームである「WordPress」を例に、サーバー作成からWordPress環境構築までを自動化するスクリプトを作って見ました。
スクリプトでは下記の処理を実行しています。
- 動作に必要なパッケージのインストール
- Apache(Webサーバ)
- MySQL(DBサーバ)
- PHP5.3.x
- postfix(メール送信サーバ)
- Apacheの設定
- MySQLの設定
- PHPの設定
- postfixの設定
- WordPressの取得と展開
- WordPress用DB作成と権限設定
- WordPressの設定
- WordPress公開
実際に行なっている処理は、簡単で単純な物ですが、これが「サーバー作成後に実行する」のと、「サーバー作成時に自動的に実行される」のとでは大きな差があると感じています。
例えば、これを手動で設定した場合、1台セットアップするのに、早い人でも30分程度はかかってしまいますし、上記手順をコピー&ペーストする場合も、サーバー作成完了後にサーバーへ一度ログインしてから実施する必要があるため、複数台の設定が必要な場合等ではとても手間です。
それが、起動スクリプトであれば、サーバー作成を実行するだけで、サーバーにログインせずに実現出来ますので、大幅に効率化されると思います。
「起動スクリプト」豆知識
再起動時にも利用出来る
起動スクリプトはサーバーの新規作成時だけでなく、既存サーバの再起動時にも指定する事が可能です。このため、既存サーバへの機能追加やパッチ適用といった処理もスクリプト化する事で、再起動と同時に自動実行させて実施する事が可能です。
APIから利用出来る
ニフティクラウドはコントロールパネルからの操作以外に「APIを介した操作」が可能ですが、もちろんAPIからも起動スクリプトを利用出来ます。
APIを利用する事で、より複雑な処理を含めた自動化が実現出来ます。
例えば、「利用者の動向に合わせててDBの設定を動的に作成し、作成した設定を起動スクリプトとしてDBサーバーを作成、動作確認して、サービスに投入する」なんて処理も自動化来るのでは無いでしょうか。
まとめ
「起動スクリプトを活用する事で、色々な処理が自動化、効率化出来るな」と思っていただけたらな幸いです。
今回は紹介しませんでしたが、起動スクリプトにCapistranoやChefのセットアップを入れておく事で、サーバー構築だけでなく、管理の効率化まで踏み込んだ環境構築も実現出来るでしょう。
起動スクリプトも他のニフティクラウドの機能同様、使い方次第でいろいろな可能性が考えられます。
オリジナルの起動スクリプトを作成して、より便利な開発・運用を実現ください。
*1: 表現が正しいかは謎(汗)
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プロフィール
ライターネーム:五月女 雄ー
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入社3年目になる新米エンジニアです。
ニフティでは「インフラを守る簡単な様で奥が深い
お仕事」をしています。
夢はインフラの気持ちが読めるエンジニアになること。
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